ヤマメ狙って東北遠征 宮城・江合川 新品さお、1投で34センチ

茨城新聞
2024年8月24日

今年、私の地元である久慈川のヤマメ釣りは不調だった。鬼怒川まで遠征するとなんとか釣れるのだが、ヤマメ狙いの釣り人がとても多く、未明に釣り場に着いても、めぼしいポイントはすで陣取られている。運よく朝一番にポイントに入れても、割り込まれる場合もある。そんな関東のヤマメ釣り状況に見切りをつけ、東北の川を狙うことにした。

東北地方はヤマメの最盛期である6月末まで川の水不足が深刻で、関東と同じく釣果は望み薄だった。

しかし7月は一転、連日の大雨で川は茶濁りが続き、釣りどころではない。やっと水位が落ち着きを取り戻した月末、宮城県大崎市の北上川水系、江合川を狙いに出かけた。

ヤマメ用の仕掛けと新しいさおが強運を呼び込んだか

午前4時、現場に着くと、水位はちょうど良い流れだったが濁りが濃い。明るくなると川は牛乳を流したような白濁りだった。白濁りは茶濁りより厄介で悪条件の代表格だ。

せっかくだからと川に入って餌の川虫を探す。しかし川底もきれいにリセットされていて石をめくってもクロカワムシはおろかオニチョロさえもいない。ミミズを持ってきてよかった。

濁りもない上流で適当に投げ入れた1投目だったが

果たしてこの川で釣れるのか。毎年今頃はたくさんのアユが跳びはねているのだが、アユのキラキラも全く見えない。下流は壊滅か?と上流の鳴子温泉近くのダムの放水口まで車で移動した。

白濁りはダムから落ちてきたものだった。上流は濁りもさほどでもない。真新しい6.1メートルの渓流ざおを伸ばし、早速ミミズを針にチョン掛けして行き当たりばったりの流れに仕掛けを放り込んでみる。流れは深そうに見えるのだが、底石に引っかかって流れていかない。意外に浅いのか?

「いや、アタリだ。食ってるぞ!」大きくアワセると巨大な銀色が針を外そうと体をくねらせ下流に流れていく。

「いきなりデカいのがきた!」。さおを持つ手に力を込めると、強烈な力で下流に向けて走られる。元々大物を釣る気で来たから用意した糸は太め。しかし初めて伸ばしたさおを最初の1匹でこんなに曲げちゃって-と一抹の不安がよぎる。

水しぶきを上げて水面を割った大きな魚体は「ヤマメだ!」。岸へと後退して浅い流れに引きずり出し、急いでタモ網にすくい入れた。丸々と太ったヤマメは34センチ。適当に投げ入れた最初の1投で釣ってしまった。しかもさおは使い慣れない新品。

その後、少しずつ移動しながら釣り続ける。30センチ1匹、その他中型サイズが7匹という好釣果。釣り師としての私の狙いと読みがさえたのか、それともこのさおが強運を呼び寄せたのか。後者であることに期待したい。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)