戦時資料の企画展 海軍「芳名録」を公開 牛久シャトー 茨城
戦時下の牛久の様子を後世に伝えようと、茨城県牛久市城中町の住井すゑ文学館で企画展「戦争の時代と牛久3」が開かれている。ワイン醸造場「牛久シャトー」と海軍の関係を明らかにする資料などを展示している。同展は12月1日まで。
シャトーを海軍の要人が訪問し、肩書や名前を書き込んだ「芳名録」を初公開する。資料からは、1944(昭和19)年5月中旬、同県阿見町にあった第一海軍航空廠(しょう)の和住篤太郎中将が訪れていたことが判明した。
市によると、同月末の日付で記載された「海軍主計」階級の軍人らは庶務や会計の担当だったことから、物資や食料を調達するためにシャトーを訪れたとみられる。担当者は「軍と牛久の関わりが分かる、大変珍しい資料」と話す。
戦時中は嗜好(しこう)品が厳しく統制され、酒類の生産量は激減した。一方、ブドウなどに含まれる物質「酒石酸」は潜水艦のレーダーの原料として重宝され、ワインの生産量も大きく伸びた。そうした軍需に応え、シャトーは醸造を続けられた可能性があるという。
大正から昭和にかけて市内で撮影され、市民から提供された写真20枚をスライドショー形式で紹介。平和使節団として昨年広島を訪問した市内中学生らの活動報告も掲示している。
8月31日と9月21日に各日2回、学芸員が展示内容を解説するギャラリートークを行う。開館時間は午前9時~午後4時半。月曜休館。問い合わせは市文化財・シャトー活用推進室(電)029(874)3121。