陶芸技法巡る〝宇宙旅〟 新たな視点で紹介 茨城・笠間の陶芸美術館

茨城新聞
2024年8月14日

焼き物の技法の広がりを広大な宇宙に見立て、星間旅行をするように作品を楽しむ展覧会「タクミのセラミック・トラベル」が、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で開かれている。同館の収蔵品を中心に81点がテーマごとに並べられ、現代陶芸の技法の多彩さを新たな視点から紹介している。

来場者は、新人スペースガイドの「タクミ」とともに「やきもの銀河」へと出発。形や色、質感など、作品を七つのテーマに分けた星々を巡り、地球に戻ってくるという構成になっている。それぞれの星でスタンプを集めることで、宇宙を旅する臨場感が味わえるのが特長だ。

風や大気の動きを想像させる作品が並ぶ「風の星」から、分裂、増殖するようなユニークな造形を集めた「モコモコニョキニョキ星」まで、作家の個性あふれる作品が一堂に並ぶ。

生物をイメージする作品を集めた「クリーチャー星」では、それぞれゾウムシとカマキリをかたどった作品が向かい合い、緊張感が生まれている。人間国宝の陶芸家・松井康成氏の「練上(ねりあげ)嘯裂(しょうれつ)文壺」の作品群は、作品の色に着目した「カラフル星雲」に展示されている。鮮やかな色と丸みが、展示空間と相まって惑星のように見えてくる。

同館の塚田巧主任学芸主事は「お皿や茶わんだけでなく、陶芸には多彩な表現がある。親しみを持って見てもらえたらうれしい」と来場を呼びかけている。

同展は9月23日まで。月曜休館。会期中、担当学芸員による「親子で巡る やきもの銀河ツアー」や、各種ワークショップなどのイベントがある。