障害者〝手作り〟商品販売 つくば市役所に常設店 福祉考える契機に 茨城
茨城県つくば市研究学園1丁目の同市役所に、市内の障害者施設などで作られる商品を扱う店が誕生した。同店は「融点」と名付けられ、「市民と福祉が出会う場」として、訪れた市民が障害や福祉について考えるきっかけになることが期待されている。
同店は市役所の正面玄関脇にあり、6月下旬にオープンした。広さは27平方メートル。店内には野菜やパン、クッキーなど食料品のほか、アクセサリー、バッグ、Tシャツ、文房具など、さまざまな商品が置かれている。
店舗の設計は障害者アートの商品化などを手がけるヘラルボニー(岩手県盛岡市)が担当した。店名には社会の「見えない壁」が溶け、店を訪れる人たちの気持ちに変化が生まれる願いを込めた。
市内14施設で組織する団体が運営する。店員は参加する施設側が交代で派遣。障害のある人も接客する。運営団体の会長を務める高野智史さん(37)は「地域に愛される店に育てていきたい」と語る。
きっかけは3年ほど前。市障害者自立支援協議会で構想が浮上した。福祉まつりなどイベントでの販売にとどまらず、「もっと多くの人に商品を見て、買ってもらいたい」との声が店の誕生につながった。
今回の取り組みについて、市内の施設で養鶏の仕事に携わる斎藤蓮さん(23)は「施設のみんなと心を込めて育てたニワトリの卵を販売していく。おいしく食べてもらえるとうれしい」と期待感を示す。
五十嵐立青市長は「働くとは自己表現であり、働いた形が結実した物がこの店に並べられている。ぜひ買い物に来てほしい」と話している。
開店時間は月-金曜の午前10時~午後2時。