前橋の建築 魅力知って るなぱあく近くの地下道(群馬・前橋市)

上毛新聞
2024年5月30日

群馬県前橋市の児童遊園「るなぱあく」や国重要文化財の臨江閣に近く、市民らが行き交う地下道に、市内の特徴的な建物の壁画が完成した。原画は前橋工科大で建築を学ぶ学生が描いたもので、同市出身の詩人、萩原朔太郎(1886~1942年)が生きた時代の名建築の数々。世代を超えて人々を引きつける建築の魅力を紹介する。

壁画は前橋ローターアクトクラブ(片桐正人会長)が地下道を飾る企画の第2弾で、今回は前橋ロータリークラブ(RC、広田哲也会長)との共同事業。「建築タイムトンネル 朔太郎とめぐる前橋」と銘打った。

37の建物が題材。臨江閣や前橋地方気象台などに加え、前橋生糸改所や前橋活動写真館といった現存しない建物もある。原画は、建築史家で同大の臼井敬太郎専任講師(47)のゼミの活動として、2022~24年度の4年生が描きためたもので、建物の古い写真に透明なシートを敷いて描きおこした。同RCの目にとまり、壁画に採用することになった。

壁画は市章「輪貫」をモチーフに、建物の絵を太い輪で囲んだデザインとした。地下道全体を潜水艦に見立てて、絵の建物を潜水艦の窓からのぞくように楽しく鑑賞してもらいたいという意図を込めた。

現在の4年生で前橋刑務所を描いた篠原菜緒さん(21)=水戸市出身=は「地元の歴史的建造物は和風建築が多く、れんが建築の多さ、和洋折衷のレトロは前橋らしさ」と話す。

臼井さんは「前橋の古い建物はデザイン、装飾が欧風で魅力的。良い建物を知らないまま卒業させてしまうのはもったいない」と、原画制作の意図を説明した。

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