オノサト・トシノブ美術館 23年ぶり再開へ 長男ら募金開設、7月開館目指す 群馬・桐生市
群馬県桐生市を拠点に創作した抽象画家、オノサト・トシノブ(1912~86年)の作品を所蔵、展示し、2001年から長期休業しているオノサト・トシノブ美術館(同市梅田町)が23年ぶりに再開することが18日までに、関係者への取材で分かった。オノサトの長男で、館長の小野里六丸さん(67)=同市=が中心となって資金を募るなど再開準備を進めており、7月上旬の開館を目指す。六丸さんは「父の作品を常時まとまって見られるのは日本でここだけ。開館を望んだ父との約束を果たす最後の機会」と意義を強調している。
展覧会に多くの来場者
同館は1992年11月、オノサトの生前の希望を基に、妻で画家のオノサト・トモコさん(故人)を館長として開館。初期から晩年の作品約千点を所蔵し、企画展などを開催してきた。ただ、行政の援助を受けられず、財政面の負担が大きいことなどから休業していた。
再開を決めた理由の一つに、2年前に大川美術館(同市)で開かれたオノサトの生誕110年記念の展覧会がある。多くの来場者が訪れ、関心を持った人が インターネット上に書き込みをしているのを見た。オノサト研究の第一人者である学芸員が、再開を望んでいると知ったことも後押しした。
再開後は六丸さんと弟の十丸さんが協力して運営する。週3日ほど開館する予定で、トモコ夫人の作品を展示する構想もある。六丸さんは「従来のファンはもちろん、作品を直に見たことがない人や海外の人にも来てほしい」と話す。
再開に向けて、費用を集める「オノサト美術館支援募金」を開設し、協力を呼びかけている。休館中に痛んだ作品の修復や美術館の維持費、人件費の一部に充てるという。募金は群馬銀行桐生支店普通口座の1717944「オノサトトシノブ美術館 小野里六丸」で受け付けている。
オノサトは長野県飯田市に生まれ、父の転勤で桐生市に転居。大間々中で美術教師も務めた。鮮やかな色彩で描いた円形など幾何学的な構成の抽象画で知られている。