栃木・足利のJR山前駅に体験型ミュージアム 使わなくなった事務室にレトロな鉄道古物ずらり
無人駅を有効活用しようと、JR東日本高崎支社は鉄道古物を集めた体験型の「やままえ駅ミュージアム」を栃木県足利市の両毛線山前駅内に開設した。国鉄時代に列車運行の安全装置として使用した機械や駅長の机などを展示し、往時の駅員業務を体験することができる。8日は地元・山前小の児童約80人が施設内を見学した。3月下旬ごろに予約制の体験イベントを開催するという。
昔ながらの木造駅舎の山前駅(約35平方メートル)は、1897年に開業した。近くにあった足利競馬場(1969~2003年)の最盛期はにぎわったが、近年の1日の利用者数は約870人という。2019年に無人駅となった。
同社は昨年夏、内部のプロジェクトチームを設置し、使わなくなった同駅駅員事務室の活用策を検討した。鉄道の魅力を知ってもらう機会を創出しようと、国鉄時代や民営化後も使用していた鉄道古物のミュージアムの開設を決めた。
線路の一定区間に同時に二つ以上の列車が入らないようにする「タブレット閉塞機」、乗車券に日付を印字する「ダッチングマシン」、降雪時に灯油を使ってレールを暖める融雪器など約100点を展示する。JR東海や天竜浜名湖鉄道など私鉄の協力も得た。いずれも「現役」で、実際に使用することができる。
一般向けイベントを前に、地域学習の一環で山前小5年の児童を招待した。児童は駅員らの説明を受け、乗車券の日付印字や約50駅分の音が鳴る発車ベルの操作、運転専用電話での通話などを体験した。
今後も校外学習で活用してもらうほか、3月下旬以降に事前申し込みの体験イベントを開催する予定。前橋営業統括センターの人見紀彦所長(51)は「貴重な機器に触れることができ、駅員の仕事を体験してもらえる唯一無二のミュージアムとなった。国鉄時代からの資産を活用し、愛される施設にしたい」と意欲を示した。
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