老舗旅館が卓球場を改装しパン工房 群馬・磯部温泉の小島屋旅館、2月オープンへ

上毛新聞
2024年1月8日

温泉マーク発祥の地として知られる磯部温泉(群馬県安中市)の老舗旅館、小島屋旅館にパン工房が誕生する。4代目女将(おかみ)の原田三重子さん(67)が一念発起し、創業から145年を経て新たに挑戦。2月上旬の開店に向けて試作を繰り返し、準備を進めている。近隣住民の日ごろの食事やおやつのほか、観光客向けの土産品として、同温泉の新たな名物を目指す。

工房の呼び名は「やどぱん」。温泉街の目抜き通りから少し入った同旅館玄関前の小道沿いに作る。かつての卓球場を改装し、製造に必要な機材をそろえた。新調したオーブンでさまざまなパンを焼いては、なじみ客や住民らに試食してもらい、販売メニュー選びを試行錯誤している。

原田さんはパン店で製造から販売まで携わった経験があり、コロナ禍前は公民館の教室でパン作りを教えていた。旅館では工夫を凝らした家庭的な料理を提供しているが、女将特製のパンを時折出すと、喜ばれるという。

「人と人とのつながり」を大切に切り盛りする旅館は宿泊のほか、宴会での利用も盛んだが、コロナ下は宴会がゼロに。回復傾向にはあるものの、「大好きなパン作りで新しい分野に挑戦したい」と工房開設を決断した。商工会の支援を受けて事業を再構築する国の補助金に申請。3度目で採択され、設備投資に踏み切った。

看板メニューとして、おやき風のパンを試作中だ。具材に季節ごとの地元産野菜を使い、パンの表面にはオリジナルロゴマークの焼き印を付ける計画。温泉の新しい土産品として、観光客からの需要も見込む。ロゴマークは地元デザイナーに依頼し、湯気がもくもくと立ち上る温泉マークと、焼きたてほかほかのパンをイメージした。

宿泊客向けの新プランとして、パン作り体験教室を企画する。女将の指導でパンを作ってもらい、土産として持ち帰れるよう検討。旅の思い出になるようアイデアを膨らませる。

原田さんは「自分自身が楽しみながら、パンを作りたい。磯部温泉の盛り上がりにつながり、パンが一つの名物になればうれしい」と抱負を語った。

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