創業194年の老舗そば店「すかや本店」(群馬・高崎市)が1月末に閉店 スズラン高崎の移転で 常連から惜しむ声

上毛新聞
2024年1月6日

おいしいそばを手軽に食べられ、群馬県高崎市民に愛されているそば店「すかや本店」が、テナントとして入居するスズラン高崎店(高崎市宮元町)の新築移転に伴い1月末で閉店する。サラリーマンや買い物客で行列のできる人気店だが、新しいスズランでは十分なスペースの確保が難しく、後継者もいないため。社長の須賀玲子さん(67)は「お客さんへの感謝の思いで、最後まで頑張りたい」と話している。

1830(天保元)年創業で、以前は同市の中央銀座通りに本店があった。スズラン高崎店が開業した1968年、地下食料品売り場に出店。銀座通りの店を91年に閉めた後も、ここで本店ののれんを守ってきた。

立ち食いのカウンターとテーブル席が二つ。8代目に当たる玲子さんと、義弟で専務の良二さん(70)ら5人で切り盛りしている。打ち立て、ゆでたてのもりそば(480円)や、かき揚げそば(580円)のほか、夏はキュウリやタマネギの入った冷やしたぬきそばが名物だった。

客の要望を聞いて生まれたメニューも多い。たぬきそばの揚げ玉を減らしたい客にはその分、刻みのりをトッピング。リクエストすれば、もりそばやざるそばを温かいつけつゆで出している。

安さと盛りの良さ、昔から変わらない味。きびきび働く玲子さんらとの会話を楽しみに訪れる客も多かった。

毎週通う近くの団体職員の男性(49)は「おいしいそばを安く食べられるサラリーマンの味方。つかの間の休憩にほっとできる場所だった」。30年来の常連という同市の女性(66)は「買い物帰りに子どもと食べるのが楽しみだった。閉店すると聞き、もう一杯食べたかった」とじっくり味わった。

前社長で夫の通生さんが亡くなって30年、社長を務めてきた玲子さんは「優しいお客さんに恵まれて続けてこられた。『これからどこへ食べに行けばいいの』と言われると申し訳ない」と話す。良二さんも「年齢もあり、そろそろ節目という思い。仕方ないけれど、寂しいですね」と話した。

現店舗でのスズラン高崎店の営業は1月31日まで。すかやも元日を除き、31日まで休まず営業する。営業時間は午前10時~午後7時。本店の閉店後も、のれん分けした県内の8店は営業を続ける。