「思い出の味」を継承 フクヤ料食のハッスル餃子 群馬・前橋市のみまつ食品が業務提携

上毛新聞
2023年12月17日

半世紀にわたり看板商品「ハッスル餃子(ギョーザ)」を作り続けてきたフクヤ料食(群馬県高崎市新町、小林剛社長)と、中華総菜を製造するみまつ食品(前橋市上大島町、神山光永社長)が、同商品の味を残すために業務提携したことが分かった。小林社長(54)は、コロナ禍による業績低迷や自身の体調不安で廃業を考えたが、県事業承継・引継ぎ支援センターの支援で継続を決意。製造機能をみまつ食品に移管し、販売を続ける新たなスタートを切った。

フクヤ料食は1968年設立。小林社長の父と叔父がJR新町駅前でハッスル餃子の販売を始めた。具材を練り込む直前にカットし、野菜のシャキシャキとした食感や豚肉のうまみで人気を博した。本店と県内2店舗を展開した他、スーパーや飲食店に卸し、ピーク時は1日6千人前を製造していた。

コロナ禍などの影響で店舗を撤退し、卸先の出荷数も減少。小林社長の体調不安が重なり、事業縮小を余儀なくされた。そうした中、県が7月に開設した特設ウェブサイト「ミライマッチング」に、後継ぎを募集する記事を掲載。同支援センターが両社を仲介した。

ハッスル餃子について「子どもの頃、友人たちと一緒に食べていた思い出の味」と語る神山社長(47)は「本県を代表するギョーザのブランド、味を未来に残したい」と、製造を請け負う業務提携を選択した。味の再現に試行錯誤したが、小林社長が「大満足」と太鼓判を押す仕上がりになった。先行して、業務用の販売を10月に再開した。

神山社長は「これからの子どもたちにも記憶に残るギョーザとして末永くつなげてもらいたい」と支える。小林社長は、客から復活を喜ぶ声を受けたとし、「味と名前を残してもらい感謝しかない。安心して提供できる」と語った。

市販用は千円(1パック30個)。フクヤ料食(金~日曜、午後3時~5時)とみまつ食品が運営する「餃子工房RON」(前橋市)、県内のJAファーマーズやAコープで15日から販売する。問い合わせはフクヤ料食(☎0274-42-0150)へ。