自社ウイスキー味わって 木内酒造、茨城・石岡に紹介施設 バスツアー企画 都内から集客へ

茨城新聞
2023年11月29日

創業200年を迎えた老舗酒蔵の木内酒造(茨城県那珂市鴻巣)は、筑波山麓の同県石岡市須釜に自社ウイスキーの紹介施設「八郷蒸溜所ビジターセンター」を開業した。同社の酒造りやウイスキーを知って味わえる施設で、同社製造のボトルウイスキー「日の丸ウイスキー」を飲むこともできる。同社は既存の八郷蒸溜所の見学コースも充実させ、東京都内からのバスツアーなどで集客を図りたい考えだ。

センター内の棚には、これまで販売した日の丸ウイスキーのボトルがずらりと並ぶ。各種のテイスティングができるほか、蒸溜所限定ウイスキーも取り扱う。日の丸ウイスキーの仕込みで使ったたるをチップにし、スモークに使ったハムやソーセージも提供する。

ハムに使う豚肉はウイスキーの麦芽粕(かす)を飼料にした茨城県産銘柄豚から上ランク以上を仕入れ、併設された工房で加工。ウイスキーに合う味付けで提供している。

展示ブースでは、同社の酒造りの歴史や製造風景をパネルで紹介。環境に配慮した循環型の取り組みや、県産素材を使うウイスキー造りへの挑戦を伝える。木内敏之社長は「地元の麦を使う茨城ならではのウイスキー工場で、ジャパニーズウイスキーを楽しんでほしい」とアピールする。

課題は交通手段。筑波山が目の前に広がる景色の良い場所だが、付近を走るバスの運行本数の少なさや、JR常磐線やつくばエクスプレス(TX)から離れた立地などから、公共交通機関へのアクセスが不便だ。

同社は誘客策として、東京駅発のバーカウンター付き専用バスによるツアーを企画。同センターを含む同社の酒造、ビール工場などを巡る「バーバスひたちの」をバス会社に委託し、2024年2月ごろから運行する予定。県内では周辺の果樹園やいばらきフラワーパーク(同市下青柳)と連携し、施設を周知したい意向だ。

日本酒「菊盛」やクラフトビール「常陸野ネストビール」で知られる同社は、2016年にウイスキー製造に参入。醸造から蒸留、貯蔵までの工程を自社施設で手がける。20年には日の丸ウイスキーを製造する八郷蒸溜所を稼働させ、ウイスキーでも世界的な認知度向上を目指す。