チョウザメの海鮮丼 茨城・常総の寺田屋とフジキン キャビア使い共同開発 養殖事業者増狙う
高級食材のキャビアが取れるチョウザメを茨城県の特産品にしようと活動する水産加工業の「西京漬けの寺田屋」(同県常総市大輪町、寺田弘二社長)は、チョウザメ養殖に取り組む「フジキン」(大阪市)と共同で新商品を開発した。チョウザメの身とキャビアを使った海鮮丼で、おいしさをPRするとともに、養殖事業者の増加にもつなげる狙い。
両社はチョウザメの特産化を目指す「いばらきキャビアフィッシュ協力会」に参加している。今回は、フジキンが食材提供、寺田屋が商品の考案、制作を担当した。
商品名は「キャビア海鮮丼」。寺田屋店舗の食堂で販売している。同食堂で人気の海鮮丼をベースに、キャビアと片面にバジルオイルを塗ってあぶったチョウザメの切り身をトッピングした。マグロやサケなど多種多様な海鮮と一緒にチョウザメを味わえる。価格は3500円(税込み)で、1日5食の限定販売。
寺田社長は「他の食材との調和も考えて、切り身の味付けに試行錯誤した」と開発を振り返る。チョウザメの切り身は味付けがないと非常に淡泊なため、バジルオイルを塗ってさっぱりとした後味に仕上げたという。
試食したフジキンチョウザメチーム主査の平岡潔さんは「いろいろな具材がある中で、チョウザメの身が他の海鮮に負けていない」と感想を話した。
キャビア海鮮丼を通じて茨城県内のチョウザメ養殖事業への参入者が増えることにも期待する。現在、茨城県内で養殖を行うのは4事業者。一方で商品展開やレストラン、ホテルへの食材提供が進み、需要に供給が追い付いていないという課題を抱える。養殖事業者を増やすことで供給の安定につなげ、特産化への動きをさらに加速させたい考えだ。
寺田社長は「ビジネスモデルを示して仲間を増やし、生産量と消費量の増加につなげたい」と意気込む。平岡さんも「海鮮丼を味わった上で、チョウザメ自体にも興味を持ってほしい」と話している。