緑釉陶器が出土 下妻の大堀東遺跡 有力者居住か

茨城新聞
2017年2月2日

茨城県教育財団は1日、下妻市柳原の大堀東遺跡の発掘調査の結果、平安時代の竪穴建物跡30棟が確認され、高価とされる緑釉(ゆう)陶器も出土し、有力者がいた可能性があると発表した。河川敷という低地になぜ大規模集落があったのか、小貝川の歴史を探る上で貴重な資料となりそうだ。一般説明会を前に同日、報道陣に公開した。

同遺跡は小貝川右岸の標高19メートルの河川敷にあり、広さは上流部、下流部合わせて約5085平方メートル。国交省下館河川事務所の委託を受け、同財団が昨年11月から今年3月いっぱいまで発掘調査を行っている。

5次にわたる周辺の発掘調査では、竪穴建物跡150棟以上が見つかった。今回は、9世紀後半から10世紀ごろまでの平安時代とみられる竪穴建物30棟と室町時代の火葬施設4基などが確認された。平安時代の建物跡からは土師(はじ)器、須恵器、金属製品のほか、緑釉陶器などが出土した。緑釉陶器は当時は東海地方でしか作られなかった高価なもので、同財団調査課の奥沢哲也首席調査員は「有力者がいたのではないか」と説明している。

建物跡のかまどでは、支柱として、土器を使ったり、石と土器を6枚重ねたりしていたものもあった。河川敷の集落としては、魚を取る道具が少なかったことも分かった。奥沢首席調査員らは「氾濫などで土砂で埋まっても、同じ場所にまた建物を造っており、この低地に住み続けた理由が分からない」としている。

同財団は4日午前11時から一般向け現地説明会を開く。当日の連絡は盛野さん(電)080(4665)7452へ。

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