四季の花々、ヒーリング音楽…前住職の遺志を継ぎ、日限地蔵尊観音院の境内に公園を開設(群馬・桐生市)
寺院を地域に開かれた場所にしようと、群馬県桐生市東の日限地蔵尊観音院(月門英真住職)が境内に公園「沙羅(さら)パーク」を開設した。月門(つきかど)住職(44)が、義父で前住職だった快憲さん(故人)の遺志を継ぎ、約1年かけて整備した。月門住職は「来た人の心が安らぐ場になれば」と話している。
山門付近の敷地内駐車場を改修した。参拝者が足を休められるようにベンチを設置。ベビーカーや車いす向けにスロープを設け、バリアフリー対応トイレも備えた。花壇では四季折々の花が咲き、ヒーリング音楽が訪れる人の心を癒やす。
ハス池をイメージした中央の円形のスペースには、快憲さんが好きだった涅槃(ねはん)像を建立。釈迦(しゃか)が亡くなった情景を再現するように、後方には沙羅双樹が植えられ、公園の名称にも取り入れた。
快憲さんは生前、研修旅行でアジア各国を巡るたび、現地で土産を購入するほど涅槃像が好きだった。月門住職は「日頃から『いつか境内に建てたい』と話していた」と振り返る。
快憲さんは体調を崩し、2021年5月に他界。一周忌を迎えたことや、快憲さんの遺志に基づき、月門住職が市内の建築家らと協力して公園を設計。富山県の業者に依頼し、鋳物でできた涅槃像を置くことを決めた。
完成式典では、檀家(だんか)や近隣住民約30人が、開設を祝うとともに快憲さんをしのんだ。式典後、キッチンカー2台が飲食を提供し、開かれた場所を印象づけた。
式典の2日後、2人の子どもと訪れた近くの中島優香里さん(31)は「以前より明るく、立ち寄りやすい雰囲気になった。子連れの家族も気軽に訪れられそうだ」と話した。
今後、要望があれば公園を貸し出すことも検討している。月門住職は「(快憲さんの)願いをかなえたい思いで整備した。いるだけでほっと一息つける『憩いの場』になってほしい」と話している。
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