訪日客、観光増に期待 茨城空港の国際線、25日再開
茨城空港(茨城県小美玉市)の国際線運航が25日、約3年ぶりに再開する。第1便はソウル(仁川)と結ぶ連続チャーター便。26日には台湾・台北との定期便が再開し、高雄との連続チャーター便も4月に就航する。コロナ禍で停止状態だったインバウンド(訪日客)の再開を待ち望んでいた県や事業者は、誘客や観光消費の拡大に向けた取り組みを一層強化する。
茨城空港国際線の搭乗待合室にある免税店では、25日の営業再開に向け、商品の陳列作業が急ピッチで進む。23日はコロナ禍前に利用者に人気のあったウイスキーや焼酎、たばこ、菓子類が並べられた。
CIQ(税関、出入国管理、検疫)の各機関は既に最終チェックを済ませた。入国者のうち、新型コロナウイルスの3回のワクチン接種証明書や陰性証明書の登録手続きを事前に済ませた人と、空港で手続きする人を区別する動線の流れなどを確認した。
同空港ターミナルビルを管理する県開発公社ビル管理事務所の安部隆雄副所長(47)は「受け入れ体制に問題はない」。免税店の李珍姫店長(51)は「やっとお客さんに会える。コロナ禍前の状況に早く戻ってほしい」と笑顔で話した。
政府がコロナの水際対策を緩和した2022年10月以降、訪日客は増加している。2月の観光局の国別統計(推計値)では、韓国の56万8600人が最多で、台湾の24万8500人が続いている。特に茨城県にとって、台湾訪日客の取り込みは、コロナ後の観光需要回復の鍵となる。
県は昨夏以降、台湾で大規模なプロモーションや商談会を展開。2月には大井川和彦知事のトップセールスや過去最大規模の展示即売会「いばらき大見本市」などを通じ、茨城県の魅力発信に努めてきた。
定期便再開や連続チャーター便の就航に伴い、訪日客の県内滞在や観光消費に期待が高まる。県は現地の旅行会社などを通じ、ゴルフやサイクリングなど宿泊を伴う体験観光をPR。他県と差別化を図り、コロナ禍前(18年)の外国人延べ宿泊客数25万4千人を念頭に、県国際観光課は「できるだけ近づけたい」と意気込む。
茨城空港の国際線旅客者は18年度、16万6千人だった。茨城県観光の復活には、同空港を利用した訪日客の拡大が必要となる。県空港対策課はSNS(交流サイト)を利用した情報発信とともに現地の旅行会社を招いたファムツアー(視察旅行)を行ってきた。
同課は定期便の継続とチャーター便の定期便化に力を注ぐ。インバウンドだけでなく、茨城空港から出国するアウトバンドも重視。利用拡大に向け、県内の旅行会社による旅行商品の造成や、企業へのアピールを強化する。
間弓弘幸課長は「観光やビジネスなどの交流人口の拡大、県内経済の回復に向け、定期便、チャーター便の誘致、再開に努める」と話した。