鉱毒事件描く連作版画一堂 【足尾銅山閉山50年】宇都宮で小口一郎展開幕
下野新聞
2023年1月22日
足尾鉱毒事件を巡り多くの作品を残した小山市出身の版画家小口一郎(こぐちいちろう)(1914~79年)の画業をたどる企画展「『二つの栃木』の架け橋 小口一郎展 足尾鉱毒事件を描く」が21日、県立美術館で開幕した。開会式には、事件で強制廃村された旧谷中村(現栃木市)の住民らが入植した北海道佐呂間町の武田温友(たけだはるとも)町長(61)、小口の長男真人(まさと)さん(79)ら約150人が出席。来館者は事件に抵抗した田中正造(たなかしょうぞう)や同村民らを捉えた作品に見入った。
昨年は同館の開館50周年と、佐呂間町の入植村民らが本県帰郷を実現して50年の節目で、小口一郎研究会(篠崎清次(しのざきせいじ)代表)の協力を得て同館と下野新聞社が主催。事件や入植村民などを取り上げた連作版画3部作約160点が初めて一堂に会した。
開会式で、篠崎代表(75)は「(連作版画が一堂に会する)展覧会をようやく開催できた。最後までゆっくり見てほしい」とあいさつした。3月26日まで(月曜休館)。観覧料は一般900円、高校生以上600円、中学生以下無料。