名作123点、彫りのすごみ 板谷波山生誕150年展 茨城・笠間

茨城新聞
2023年1月13日

■巡回展最後、貴重な機会

日本近代陶芸の巨匠で文化勲章受章者、板谷波山(1872~1963年)=茨城県筑西市出身=の生誕150年を記念した巡回展が、同県笠間市笠間の県陶芸美術館で開かれている。初期から晩年までの名作123点が4部構成で紹介され、創作の秘密や故郷での交流など、波山芸術を総合的に振り返る内容となっている。

展示作品は昨年、筑西市のしもだて美術館など3会場を皮切りに、石川県立美術館(金沢市)、泉屋博古館(京都市)、泉屋博古館東京(東京都港区)を巡回。今回の笠間市での公開が最後になる。6日、関係者約70人を招いたオープニングセレモニーと観覧会が開かれた。

波山は当初、東京美術学校(東京芸術大)で彫刻を学んだ。

美術家として最高の栄誉とされた「帝室技芸員」として活躍し、1953年に工芸家として初めて文化勲章を受章した。

波山が卒業制作として彫った木彫「元禄美人」(1894年)=同大蔵=は、東京会場に続く公開。彩磁瑞花祥鳳文花瓶(1916年)=MOA美術館蔵、葆光彩磁牡丹文様花瓶(22年)=東京国立近代美術館蔵=など、いずれも重要な名品を直接鑑賞できる貴重な機会となっている。

また、彫りの技術のすごみを感じられる未完成作品「唐花文壺」(生素地)=板谷波山記念館蔵=も見どころだ。

6日に行われたセレモニーで、同展を監修した学習院大の荒川正明教授は「今回で最終章。最高のコレクションが集まった。ゆっくりご覧になっていただきたい」とあいさつした。

会期は2月26日まで。午前9時半~午後5時。月曜休館。