《まち里歩き》スタート地点 郷見神社(高崎市下里見町) 歴史と果実の街道 

上毛新聞
2016年8月17日

ㅤ果実の産地として知られる高崎市榛名地域。夏になると各所に直売所が開き、国道406号は通称「くだもの街道」と呼ばれる。下里見町に残る歴史に触れながら、旬の味覚を楽しんだ。

ㅤ国道406号沿いにある「郷見(さとみ)神社」の入り口には、榛名に初めてナシの苗木を植えて栽培を広めた、富沢小平次翁の顕彰碑が立つ。同神社は、1910 (明治43)年に下里見地区の4社が合祀(ごうし)され、現在の名称に改められた。富沢文男総代長(75)は、「本殿奥宮の彫刻は、榛名神社双龍門の再建に携わった小林源太郎によるもので、春と秋の例大祭に一般公開する」と説明してくれた。

ㅤ境内の里見城址(じょうし)の説明板に目をやると、南方の丘陵地が 里見城址で、その東の赤い建物が城山稲荷(いなり)神社とある。国道に戻り、早速向かった。

ㅤ城山稲荷神社の大鳥居をくぐると、社殿まで鳥居が18基続く。参道を進むと両側に歌碑が見え、頭上の木々が夏の日差しを遮り、涼やかな風が渡る。城山稲荷大明神は、新田義重の子、義俊が築いた里見城の鬼門除けとして祭られた。里見氏が房総へ移った後は、地域の守り神として親しまれ、数年前には長寿地蔵尊を建立。地域の人たちが健康で長生きし、寝込まずに大往生してほしいと願いを込めて、通称「ぴんころ地蔵」と名付けたという。

ㅤ里見城址には標柱と説明板があり、本郭(くるわ)は東西約100メートル、南北約70メートル。義俊が1154(久寿元)年ごろに里見地域を所領としてから、11代義実が房総に転出するまでの約290年の間、里見氏の居城だったとされる。どんな城だったのか、当時の様子に思いをはせる。

ㅤ国道から県道箕郷・板鼻線に入り、悴田梨園に立ち寄った。店頭にはナシ、モモ、プラムなどみずみずしい旬の果物が並び、甘い香りに包まれる。ナシ畑では複数の品種を栽培し、今月20日前後からナシ狩りも始まる予定だ。同園の悴田俊司さん(34)は、「9月中旬にはいろいろな品種のナシが味わえる」と教えてくれた。売店の反対側には、ご当地キャラクター「フルーツ忍者ハルナ」の梨之助がラッピングされた自動販売機があり、ゆるキャラにしばし心和んだ。

ㅤ県道沿いの店「アルベロ.」は、主に山木農園が栽培する自家農園の果物を加工、販売している。店内には、モモやナシ、ネクタリンなど旬の果物や野菜を使ったジェラート20種類が並び、厳しい暑さの中、涼を求める人たちでにぎわっていた。

≪コースの特徴≫
アップダウンのある2キロ余りのコース。交通量が多く、歩道が狭いところも。

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