《路線バス 終点を行く(1)》二千階段入口(藤岡) 山里に希望のサクラ

上毛新聞
2016年4月15日

ㅤ世界文化遺産の高山社跡を過ぎると、バスは木々で覆われた山深い道に入っていく。どこまでも続きそうな林を抜けると、突然、サクラやイワツツジなど花々が咲き誇る山里が視界に広がった。
ㅤ藤岡市のコミュニティーバス「めぐるん」。三ツ木―高山線の終点は同市高山の最奥部、椚山地区にある観光名所「二千階段入口」だ。シダレザクラが満開となった12日。終点という言葉がなじまないほどの華やかさに包まれていた。
ㅤ標高500メートル前後の山あいにある椚山では、住民が危機感を持って地域おこしを続けてきた。子王山に至る二千階段は四半世紀前、市の協力を得て作り上げた。2000年からは階段周辺を花の名所にしようと「しだれ桜千本の会」を結成。30年で1千本を植える計画を進める。高山ブルーベリー研究会を立ちあげ、夏にブルーベリー園も運営している。
ㅤただ過疎化の流れは止まらない。千本の会の黒沢嘉明会長(80)は「みんな年寄りになって活動も大変だ。高山社からバスで10分だから、観光客を呼び込めたらいいが…」と期待と不安の入り交じった胸の内を明かした。
ㅤ地域再生の希望が込められたシダレザクラ。地元ライオンズクラブなど賛同する団体や個人の寄付もあり、300本に達した。住民らはボランティアで、根気強く草刈りなどを続ける。数十年先には一面サクラ色に染まった山あいの地に観光客が訪れ、にぎわいを取り戻す光景を夢見ている。
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地域の足を支える路線バス。終点から見えてくる風景を追った。

【三ツ木―高山線】藤岡市から委託を受けた上信ハイヤーが運行する。高崎市境に近い三ツ木公会堂から北藤岡駅や群馬藤岡駅、公立藤岡総合病院、みかぼみらい館など主要施設を経由。始発から終点までの所要時間はおよそ1時間20分。

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