前橋の老舗せんべい店「清香園」 2年ぶりに再開 にぎわい創出を
前橋市の中心市街地にある1875(明治8)年創業の老舗のせんべい店「清香園」(同市本町)が14日、2年ぶりに営業を再開した。前経営者が高齢のため休業していたが、孫の三橋一仁さん(32)が東京からUターンし、飲食もできるよう改修した。「商品を売るだけでなく、にぎわいを街中に波及させたい」と意気込んでいる。
店内にはせんべいが入った昔ながらの陳列棚をはじめ、テーブル席やカウンター席、8畳の和室がある。コーヒーや茶の単品(300円)やせんべい2種類とのセット(500円)を飲食できる。
持ち帰りは1枚90~100円のせんべいに加えて、量り売りが10種類ある。店の前のえびす通りにちなんだ、タイ風味のえびすおかき(100グラム340円)は同店の独自商品。贈答用の袋詰めもある。
三橋さんはこの店で生まれ育った。東京都内の百貨店に勤務していた際に、経営していた祖母が店を閉めることを知って残念に思う一方、「もし自分が継いで、周りに活気を与えられたら、めちゃくちゃ面白い」と事業承継を決めた。
2019年春に帰省し、同市の地域おこし協力隊としてイベント開催に携わりつつ構想を練った。当初は高級品のセレクトショップを兼ねる計画だったが、街の人と交流する中で「イベント時だけでなく、常に人がいるリアルな場所も大事。茶を飲んで談笑できる場をつくる」と転換した。
当面は出勤途中のビジネス客をターゲットに午前7時半から午後1時まで営業。将来は「お酒を飲めるせんべい屋」を目指すという。土日、祝日は休み。問い合わせは同店(電話027-221-5683)へ。(斎藤洋一)