《味な探検隊》胃袋で国際交流 伊勢崎・外国料理店巡り
県内で最も外国人住民が多い伊勢崎市には、さまざまな国の料理店が各地にある。調味料や食材の販売を行う店も多く、外国人の生活に欠かせない存在だ。アジアから南米、ヨーロッパまで各国のグルメを食べ歩いた。
◎辛さパキスタン流 パクカレー レストラン (伊勢崎市長沼町)
モスクがある伊勢崎市は、イスラム圏出身の住民も多い。彼らの交流の場となっているのが「パクカレーレストラン」だ。「アッサラーム(こんにちは)」「どこから来たの」と、客同士が気軽に声を交わす。
パキスタン出身のファルクさん(47)が作るカレーは、ニンニクやショウガ、トマトが入り、奥深い辛さが特徴。ナンやサラダが付く「日替わりカレーセット」(850円)は、マトンやチキン、ほうれん草など5~7種類から味を選べる。
同店に併設されたナン専門店でファルクさんが作る自慢のナンは、約30センチの大きさ。外はカリッと中はもっちりとした食感で、ほのかな甘みがある。市内の他のカレー店でも使われているという。
マトンと米をスパイスと一緒に炊いた「マトンビリヤニ」(800円)も人気。ごろごろと入った肉は軟らかく、パラパラとしたインディカ米は適度な辛さ。ヨーグルトやチリソースをかけると味の変化が楽しめる。「3時間以上火にかけることで香りが増すんだ」と、ファルクさんはこだわりを話す。
スパイスに漬け込み、丸ごと揚げた「チキンフライ」(1羽1200円)や、香ばしく焼いた「タンドリーチキン」(1300円)も好評。持ち帰りもできる。
ファルクさんは2001年に来日し、自動車部品工場や大型商業施設で働いて資金をため、06年に店を開業した。スパイスやハラルフードなど輸入食材の販売もしている。
午前11時~午後10時。定休日なし。問い合わせは同店(☎090・2415・1309)へ。
◎ペルーと日本融合 エルケロ (伊勢崎市若葉町)(1)
ペルー料理を提供する、住宅街の隠れた名店。牛肉と赤タマネギ、フライドポテトを炒めた「ロモ・サルタド」(1300円)は、野菜のシャキシャキとした歯応えとしょうゆの風味でご飯が進む。トマトの酸味が味に深みを加えている。
マグロをタマネギや唐辛子とあえたマリネ「セビチェ」(1250円)も定番メニュー。ペルーのコーラ「インカコーラ」(150円)も楽しめる。
店主のコウチ・アンドレスさん(60)が24年前に伊勢崎市大手町で開業した。日本料理店で修業した長男のアキノリさん(29)は「日本人の舌にも合う味付け」と来店を呼び掛ける。
水曜定休。問い合わせは同店(☎0270・21・0978)へ。
◎ベトナムの昼堪能 ボンセン (伊勢崎市上諏訪町)(2)
9月にオープンした「ハスの花」という意味のベトナム料理店。個室2部屋のほか、テーブル36席のゆったりとした店内は団体でも利用しやすい。
ランチセット(980円)はフォーやベトナムカレーをはじめ、「ピリ辛鶏のレモングラス炒め」など個性的なメニュー5種類の中から選べる。スープや春巻きが付き、ベトナムの味を堪能できる。
魚介入りのベトナム風お好み焼き「バインセオ」(900円)や細い米麺の「ピリ辛牛ブン」(850円)も定番。現地で人気の333ビール(650円)やSAIGONビール(700円)もある。
月曜定休。問い合わせは同店(☎0270・75・4553)へ。
◎バルで食とワイン ポコアポコ (伊勢崎市昭和町)(3)
落ち着いた雰囲気の店内で、ワイン片手にスペインオムレツ(480円)や生ハム「ハモンセラーノ」(550円~)を楽しめるスペインバル。
エビやムール貝をふんだんに使った「魚介mixパエリア」(2~3人前1890円)は、米に染み込んだ魚介のだしがたまらない。
月曜定休。問い合わせは同店(☎0270・75・2825)へ。
◎ブラジル 家庭の味 ヴェレーダ・トロピカル (伊勢崎市八斗島町)(4)
ブラジルの家庭料理を紹介する食堂兼弁当店。「ビフュ・パルミジャーナ」(600円)はサクッとした食感の牛カツにトマトソースがかかり、とろりと溶けたチーズが食欲をそそる。豆を煮た「フェイジョン」とライス、サラダが付き、低価格ながらボリューム満点だ。
第4日曜定休。問い合わせは同店(☎0270・32・6592)へ。
【こんな店も】
❺ラハイナ(伊勢崎市宮子町、☎0270・25・5819) ハワイ料理が楽しめる。鳥の丸焼き「フリフリチキン」(1780円)が看板メニュー。野菜や酢を合わせたペーストを塗り、じっくり焼き上げた。半分、4分の1サイズも。月曜定休。
❻ノンカイ・レストラン(伊勢崎市八斗島町、☎0270・31・2024) 独特の辛さと酸味が特徴のトムヤムクン(ライス付き800円)が名物のタイ料理店。鶏肉やキクラゲを入れ、生クリームでマイルドに仕上げた。月曜定休。
【本日の探検隊員】
◎味が心のよりどころ 伊勢崎支局 金子雄飛記者
「故郷の味。これを食べると母国にいる妻と娘を思い出すんだ」―。ペルー料理店の男性客の言葉が心に残った。各国の料理店は、外国人住民の心のよりどころになっているとともに、県民が気軽に異文化に触れるには格好の場所。今後さらに増えることが予想される彼らとの共生に向け、まずは胃袋で国際交流を始めたい。