木製の柄付き包丁発見 つくば・島名本田遺跡

茨城新聞
2017年9月8日

県教育財団は7日、つくば市島名の島名本田(しまなほんでん)遺跡の発掘調査の結果、室町時代の集落跡から柄の付いた包丁のほか、漆椀(わん)や臼など多くの木製品が出土したと発表した。同財団は「県内で木製品や、これだけの規模で室町時代の集落跡が発見されるのは珍しい。中世の暮らしを知る貴重な資料になる」と説明した。

同遺跡は同市の南西部、谷田川右岸の標高約24メートルの台地上にある。調査は土地区画事業に伴い、5052平方メートルを4~9月までの予定で実施。調査は4回目。

今回、確認したのは、掘立柱建物跡(ほったてばしらたてものあと)や堀跡3条、溝跡25条、井戸跡34基、土坑300基など。室町時代(15世紀)から江戸時代(17世紀)にかけての集落跡で、堀跡は最大で全長約70メートル、幅約5メートル、深さ約2メートル。

堀跡から、室町時代のものとみられる、すり鉢などの土師(はじ)質土器、砥石(といし)や五輪塔などの石器・石製品、かめなどの陶器が出土した。注目されるのは木器・木製品の多さ。特に包丁が木製の柄が付いたまま発見されるのは珍しいという。

また青銅製の権(けん)も出土。権は円すい形で長さ4・7センチ、重さ38・8グラム。棹秤(さおばかり)の錘(おもり)と推定される。似た形の権が2003年度に東海村の村松白根遺跡から発見されて以来で、出土は県内2例目。さらに、天目茶碗や茶臼といった茶道具や、瀬戸美濃や唐津の陶器など嗜好(しこう)品も出土した。

同財団は「地域を管理したり商業を営む人物の存在が推定できる。町屋や流通の拠点であった可能性もあり、集落の性格を解明したい」と話した。

現地説明会は10日午前10時から。問い合わせは同財団つくば島名事務所・塙厚宜さん(電)080(4659)8215

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