「顔展」喜怒哀楽に着目　肖像や仏画21点　茨城県五浦美術館　北茨城

肖像画や仏画などさまざまなジャンルの日本画を集め、描かれた人物の表情に着目する企画展「顔展　どうしてそんな表情(かお)」が、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。喜怒哀楽さまざまな表情を捉えた絵画21点が展示され、表情の理由や作品の背景を想像しながら楽しめる。同展は10月20日まで。

展示されているのは県近代美術館(同県水戸市)の収蔵品が中心。頑固そう、優しそうといった人柄を想像させる肖像画、物語の登場人物を描いた歴史画などが並ぶ。

中島清之の「ある肖像」は鋭いまなざしの男性を描いた作品。驚いているようにも怒っているようにも見え、モデルの複雑な心境が現れている。川崎麻央の「白兎予祝」は目を細め大きく口角を上げた柔和な笑みが印象的で、ふくよかな輪郭と相まって包容力を感じさせる。

人々が表情から相手の人柄や思いを読み取ってきたことに、あらためて注目。表情の理由を考えながら鑑賞することで、画家が人を描くために重ねた工夫や意図に迫る。企画のきっかけはマスク着用が個人の判断に委ねられ、人の顔を目にする機会が増えたことだという。

同館の大津友美主任学芸主事は「その時の気分によっても、さまざまな見方ができるはず。なぜ、どうしてそんな顔をしているのか?　と、想像しながら楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

月曜休館。午前9時半～午後5時。