101歳玉川さんが応援大使に 茨城・笠間市が委嘱状交付 現役の浪曲・曲師「最高」
茨城県笠間市の魅力発信を担う「かさま応援大使」に、101歳になる浪曲の曲師(三味線奏者)で、今も現役で活動している玉川祐子さん=東京都=が就任した。16日、市役所での委嘱状交付式に臨んだ玉川さんは「生まれ故郷で、この年になって歓迎してもらい最高」と喜びを表した。任期は3年間。玉川さんは12人目の大使となる。
玉川さんは1922(大正11)年生まれ。現在の同市片庭に生家があったという。小学校を出た後、笠間稲荷神社近くの呉服店で子守の奉公をしていたが、隣のレコード店から流れる浪曲に引かれ、「一流の浪曲師になって親孝行しよう」と17歳で上京し、弟子入りした。浪曲師には「声が向かない」と諦め、曲師になった。以来約80年。芸歴を積み重ね、今も現役で、月1回、東京・浅草の演芸場「木馬亭」で、まな弟子の浪曲師、港家小そめさんと舞台に上がっている。
交付式には、港家さんと玉川さんの長男、高野忠さん(77)が同席した。山口伸樹市長が委嘱状を手渡すと、玉川さんはかしこまって受け取った。
玉川さんは昨年9月、同神社の稲光閣で、ほとんど初めてとなる地元公演を行った。山口市長は「それまで玉川さんの存在を分からなかった。ごめんなさい」と謝った。その上で「玉川さんの場合は存在していること自体で話題性がある」と応援大使としてのふさわしさを述べ、長寿社会のかがみとなるような元気な活動ぶりをたたえた。
玉川さんは、耳が聞こえにくくなってはいるが、心身ともに健やかで、頭脳も明晰(めいせき)、声にも張りがある。「生まれ故郷だもの」と市から声がかかったことを喜び、「きょうは三味線を持ってこなかったが、また笠間に来たい。市長呼んでください。約束ですよ」と山口市長と指切りをした。
かさま応援大使は市のイメージアップや知名度向上を図るため、市出身者や市とゆかりがあり、各分野で活躍している人から、市長が選任し委嘱する。