新種ミドリムシ発見 筑波大など 茨城・つくばの水田
筑波大と青山学院中等部は、ミジンコなどに寄生する新種の微生物「ツクバヤドリミドリムシ」を発見したと発表した。茨城県つくば市栗原の水田で採取したカイミジンコなどの体内からベンモウチュウを発見し、詳しく調べたところ、寄生性の新種のミドリムシであることが分かった。水田に多く見られるカイミジンコで高い感染率を示すことから、水田の生態系の解明に大きな役割を果たすと期待される。
同大によると、ミドリムシは光合成を行ったり、細菌など他の生物を捕食したりするなどの形態が見られる。動物に寄生する事例も報告されていたが、約100年前の報告にとどまっていた。
新たに発見されたミドリムシは、光合成を行うミドリムシの仲間だが、カイミジンコなどに寄生し、光合成の能力を失っていることが特徴。
研究チームは2013年に同大付近の水田から採取したカイミジンコの体内から、多数のミドリムシのようなベンモウチュウを発見。22年にさらに調査し、同じ水田で採取したカイミジンコ2種とヒメウズムシ2種から同様のベンモウチュウを発見。遺伝子の塩基配列を調べたところ、通常は葉緑体を持ち光合成を行うミドリムシ類ユーグレナ目と分かった。さらにこれまで報告されていた寄生性ミドリムシ類と比較したところ、特徴や宿主が一致する例がなく、新種と確認された。
同大生命環境系の中山剛准教授は「祖先は葉緑体を持っていたはずだが、どのような変化が起こったのかなど、進化的な観点から調査を進めたい」と述べた。