浅間大噴火、スペイン風邪… 災害・疫病と闘った歴史をたどる 史料・パネル展を開催 群馬・前橋市
群馬県内で発生した災害や疫病を振り返る企画展「収蔵史料でふり返る 上州・群馬の災害・疫病」が7月9日まで、前橋市文京町の県立文書館で開かれている。今年で発生240年を迎える浅間山の天明大噴火の被災から復興までをたどるほか、近代の感染症流行時の対応などを紹介している。
1783(天明3)年の大噴火は「浅間焼け」と呼ばれ、周辺だけでなく、土石雪崩がせき止めた吾妻川の決壊による土石流で下流も甚大な被害を受けた。
展示では被災後の為政者や寺社による被災者支援、その後の飢饉(ききん)を引き金とした打ち壊しなどの社会不安の増大を解説。火山灰が滞積した農地の復興記録からは、天地返しをして数年から十数年かけて田畑に戻したことが読み取れる。平仮名など平易な文章で詳しく被災状況を刻んだ供養塔が「災害の伝承」の役割を担ったことも分かる。
「近代群馬の疫病対策」のコーナーでは、明治期の感染性眼病が流行した小学校で、識別のため「赤紙」を付けて罹患(りかん)した児童を隔離した記録を紹介。大正期のスペイン風邪では予防注射やマスク着用、患者の隔離、会食禁止などが求められ、現代の新型コロナウイルスとほぼ同様の対策を実施した緊迫感が伝わる。
同館の阿部潤指導主事は「災害や疫病に対し、社会が結束したり、当時最新の知見を活用したりして必死で乗り越えた姿が分かる」と話す。入場無料。月曜と祝日、各月の末日は休館。問い合わせは同館(027-221-2346)へ。
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