《まち歩き・里歩き》スタート 水道山公園 (桐生市宮本町) 薫る織都の伝統文化

上毛新聞
2016年6月7日

ㅤ桐生市街地の北西部に位置する水道山公園は、水道山を整備して造られ、夜景の名所としても知られる。歴史や文化に富む桐生の魅力を探るため、高台から街中に向けて歩きだした。
ㅤ水道山公園の展望台からは市街地の風景を一望できる=写真。園内で絵を描いていた山形孝さん(64)は、日陰で心地よい風が吹くこの場所がお気に入り。8年ほど前、埼玉県坂戸市から子どもが暮らす桐生市に移り住み、絵を始めたという。現在は毎週この場所でキャンバスに向き合う。「桐生の豊かな自然が好き」と笑顔を見せた。
ㅤ公園を出た先に、国登録有形文化財の水道山記念館があった。1932(昭和7)年から、市の「配水事務所」として40年間使われた。木造平屋建てタイル張りで、スペイン瓦のモダンな外観がしゃれている。72年に事務所の役割を終え、現在は市民の会議室や研修会場などとして親しまれている。
ㅤ坂道を少し下ると、右手に大川美術館が見えた。山の中腹に位置するこの建物は、名画と共に四季折々の自然を楽しめる。カフェスペースにはテラスもあり、作品鑑賞後に一服するのもお勧めだ。寺田勝彦館長(79)は「芸術に詳しくない人も気軽に立ち寄り、心安らぐ雰囲気に浸ってほしい」と話す。
ㅤ下山して北東に進むと、えびす講で知られる桐生西宮神社があった。11月の秋季例大祭では、商売繁盛と家内安全を願う参拝客で石段に行列が生まれ、周辺の露 天では縁起物を売る威 勢のいい掛け声が響く。今年も参加して、ぜひ福にあやかろうと決めた。
ㅤ桐生市は今月、桐生新町重要伝統的建造物群保存地区の特徴的な建物を紹介するパンフレットを作製し、各所で無料配布を始めた。本町通りにある国登録有形文化財の「曽我家住宅主屋」でさっそく発見。パンフレットは、主屋の近くにあるのこぎり屋根工場の歴史などを紹介している。建物全体を管理する曽我忠弘さん(63)は「まだパンフレットの集客効果は実感できない」と話しており、1人でも多くの人に手に取ってほしい。
ㅤ路地に入ると「ゆかた」と書かれた看板を見つけた。呉服の卸や販売などを手掛ける「柏原商店」だ。気温が徐々に上がり、夏祭りシーズンに向けて熱気が高まるこの時季は、浴衣の販売に力を入れている。従業員の柏原朋子さん(55)は「夏はここで着付けして、そのまま祭りに繰り出す客も多い。桐生の祭りはすごくにぎやか」と教えてくれた。
ㅤ芸術鑑賞、食事、買い物…。山に囲まれたこの土地は、何をするにも自然を身近に感じられた。気分はすっかり一新されて、帰路の足取りは軽かった。

≪コースの特徴≫
下り坂と平地を歩く約3キロ。本町通り一帯は、紹介しきれないほど特徴的な建物や店舗が多くて面白い。

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