《まち歩き・里歩き》スタート 下仁田駅(下仁田町下仁田) 人つなぐ郷愁の風景 

上毛新聞
2016年5月18日

ㅤここ最近、「何もない町」を売りにした自虐CMがネットで注目を集め、一躍“全国区”となった下仁田町。動画には下仁田ねぎ畑や、のどかな山あいの町並みが映し出される。スマートフォン片手に中心街のロケ地を巡りつつ、映像だけでは分からない町の魅力を探した。
ㅤ町の玄関の一つ、上信電鉄の下仁田駅から今回の散策をスタート=写真。動画には駅員2人も出演し、駅舎の前やホームで音楽に合わせて踊りを見せていた。
ㅤ駅のホームにはユニークな列車が並んでいた。この時停車していたのは、前から見ると県のマスコット「ぐんまちゃん」の顔をした「ぐんまちゃん列車」と、国内外から寄せられた絵手紙769点が車内を彩る「絵手紙列車」。駅に電車を見に来ていた宮沢心ちゃん(5)と芽依ちゃん(3)姉妹に声をかけた。前橋市上泉町から駅近くの祖父母の家に遊びに来たという。心ちゃんは「ぐんまちゃん列車がかわいかった」と満足そうだった。
ㅤ駅から線路に沿って東に進むと、赤れんが倉庫が目に入る。「何もない」と言いつつ、世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する荒船風穴がある同町。1920年代に建てられた倉庫は繭の一時保管や乾燥に使われ、町と絹産業の発展を支えてきた。現在もこんにゃくの荒粉や精粉などを保管する倉庫として利用されている。
ㅤ動画で流れる歌には「ネギとかこんにゃくばっか有名で」というフレーズが登場する。そんな町にあるのが、「こんにゃく大黒天」を祭る諏訪神社だ。毎年1月19日には地元関係者により、特産品こんにゃくの豊作や繁栄を祈願する祭事が開かれる。宮司の工藤武久さん(76)によると、こんにゃく業界が低迷した昭和40年ごろから始まったという。
ㅤ神社近くの河原に下りると、水のせせらぎや爽やかに吹く風が心地いい。足元の大きな岩に目をやると、貝殻の化石がはっきりと確認できる。この周辺は「下仁田層」と呼ばれ、「下仁田ジオパーク」の見どころの一つ。町全体がジオパークに認定されており、珍しい地形や地質は世界遺産に並ぶ町の売りだ。
ㅤ最後に動画のロケ地、中央通りをゆったりと歩いた。両脇に飲食店や酒屋が軒を連ね、レトロな風情が今もなお残る。人通りは少なかったものの、通りや近くの住宅からは無邪気に遊ぶ元気な子どもたちの声が響いていた。そんな姿に目を細めていたのは地域に住む大人たちだった。
ㅤ動画では最後に「残された景色のある町」と歌われている。街中を歩き、こうして人と人とがつながる風景も残っていたと分かると、心が温まった。

《コースの特徴》
商店街を中心に歩く全長約1キロのコース。子どもが河原に行く場合は必ず大人と一緒に。

写真


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