《食いこ》長竿亭(河内町) そばとゆば、古民家で舌鼓

茨城新聞
2019年6月23日

梅雨の晴れ間、門をくぐると、緑がまぶしい。その奥に古民家がどっしりと構える。風に揺れる白地ののれん。風鈴が涼しげに鳴る。入り口近く、日よけの傘の下にテーブルと椅子。外でそばに舌鼓を打つ人の姿も見られた。

ここは河内町。築100年を超える古民家は空き家になっていたが、官民協働事業により2016年、「長竿亭」として再生された。龍ケ崎市の石嶋昭男さん(68)がそばとゆばの店を開き、県内はじめ千葉県からも客が訪れにぎわう。

石嶋さんは、高校時代にそば店でアルバイトをするほどのそば好き。03年ごろからそば道場を開き、そば打ちの腕を磨いた。「古民家にそばは合っている。いつかはそば店を開きたかった」。夢をかなえようと河内町が募集した古民家の活用に事業者として名乗りを上げた。

毎朝手打ちするそばは「香りがいい」という北海道旭川市の江丹別産のそば粉。「打ちたて、ゆでたて、心だての三たてでそばを出している。心だてはおいしいそばを食べさせたいと気持ちで打っている」と石嶋さん。そばはもりやかけ。エビやかき揚げなどの天ぷらは単品で頼む。

石嶋さんは土浦市の手作りゆば工房「豆庄」の社長でもある。店では同社の県産大豆「ハタユタカ」で作る「刺身湯葉」と「丸湯葉」を提供する。丸湯葉は「モッツアレラチーズをイメージした」と語る自信作。「色が白く、甘味のあるハタユタカを選んだ」と素材にこだわった。

テーブル席は土間と靴を脱いで上がる板の間。その奥に座ってくつろげる和室がある。地元の人の交流スペースとしても利用され、毎月第1日曜に茶席が設けられる。7月2~4日は草木染や七宝焼など10人の作家による作品展が開かれる。

来月新たなにぎわいが生まれる。敷地内にある蔵に「S★Garage Coffee(エスガレージコーヒー)」が7月21日、オープンする予定。店主の堀籠智さん(51)は現在、長竿亭に仮住まいして、コーヒーを提供する。蔵では軽食やケーキなども出すという。

■お出かけ情報
長竿亭
▼河内町長竿3901
▼営業時間は午前11時~午後2時、夜は予約
▼定休は月曜
▼(電)0297(86)8633

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