全て町産「味ピュア」 神流 「古民家の宿」で豆腐作り

上毛新聞
2018年8月15日

神流町麻生地区に築100年以上の古民家を改修した宿泊施設「古民家の宿 川の音(ね)」が誕生した。宿泊だけでなく、アユ釣りやまき割りなど、自然豊かな地域の魅力を生かした体験プログラムも用意している。「日本の伝統的な暮らしを味わいたい」と訪れたフランス人観光客と一緒に、豆腐作りに挑戦した。
玄関を入ると、町の豆腐作り名人、黒沢一弘さん(79)、けさえさん(70)夫妻(同町青梨)が準備して待っていた。いろりの横の土間には石臼、外には大釜が置いてある。「道具は全てうちから持って来たんだよ」と少し得意そう。フランス人観光客ら11人も到着し、豆腐作りスタートだ。
まずは、豆を石臼ですりつぶす。湧き水に半日以上さらした町特産のアワバタダイズを使う。臼を回すと、豆がすりつぶされ、石の間からとろっとあふれ出した。
全ての豆をつぶしたら大釜で煮る。「豆腐作りで一番大切なところ」だ。焦げ付かないよう、釜の縁をなでるようにして長さ1メートルほどの大きな木べらを動かすが、難しい。釜の熱気ですぐに汗だくになった。
悪戦苦闘して煮えた汁から豆乳を搾り、にがりを加える。箱に入れて、水分が抜けたら完成だ。30分後、箱をひっくり返して豆腐を取り出すと自然と拍手が起きた。
まだ温かい豆腐に少ししょうゆを垂らして一口。しっかりと固まっているが軟らかく、豆の優しい甘さが広がった。材料だけでなく、釜に使うまき、道具まで全て町の物で作った自家製豆腐。「こんなにピュアな大豆の味を感じたのは初めて」。フランス人のパスカル・ダウさん(57)は感激していた。


身近な食材や物を活用して大切に味わう。黒沢さん夫妻は「これが昔は普通だったんだよ」と言うが、とてもぜいたくに感じられた。
昔の文化と現代のおもてなしが合わさり、神流町の魅力を丸ごと味わった1泊2日だった。
(高崎支社報道部 大森未穂菜)

【メモ】「古民家の宿 川の音(ね)」は町の指定管理を受けた神流振興合同会社(代表・田村利男町長)が運営する。客室は4部屋で、12人程度が泊まれる。体験内容などは要相談。問い合わせは川の音(☎0274・20・5888)へ。

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