《食いこ》井中(大洗町) 日々、食材と向き合う

茨城新聞
2018年3月11日

大洗町にある「井中(いちゅう)」はうっかりすると見過ごしてしまいそうな住宅地にある。庭の奥に入り口があり、店内は落ち着いた雰囲気。店主の中村強さん(66)が日々食材と向き合い、彩り豊かな趣向を凝らした日本料理を創作する。

都内や箱根などの日本料理店で腕を磨き、「最後は地元で」と約15年前、古里に店を開いた。「地の魚、地の野菜を食べてほしい」と県産の食材を多く使う。

「食材選びから料理は始まっている」と中村さん。魚や野菜の仕入れ先は1カ所に絞らない。食材と出合うために自ら動く。「同じトマトでも力強いもの、やわらかいものといろいろ。生産者によって味が違う」と水戸市や茨城町などの農園に出向き、味だけでなくその目で色や形、大きさなどを確かめる。他に無農薬栽培の茨城町産豆や県北産常陸大黒、水戸市産の米など春のタケノコのように季節を先取りしたい食材は築地から仕入れる。「食文化は固まってしまっては駄目だと思う」。柔軟にフランスやイタリアの食材も取り入れる。

趣向を凝らした茶わん蒸しは、石岡市の牧場が作るモッツァレラチーズとトマトを合わせた。「イタリアの水牛のモッツァレラチーズを使っていたが地物でおいしいチーズがあると知り、使ってみたら好評だった」

ある日の夜のコースに出された料理の一部を紹介すると、地物の蒸しアワビとイイダコ、カナガシラの南蛮漬け、カマスの幽庵焼き、お造りが並んだ。それぞれ凝った器に盛り付けられ、菜の花やトマトなど色とりどりの野菜がちりばめられていた。エシャレットの葉を結ぶなど細部にまで気を配る。生命力あふれる色合い。「野菜も食べてほしい。生だとバランスがよくない。食感が残るように軽く火を入れた」。小鉢を組み合わせたランチの「井中膳」は多彩な料理を目でも楽しめる。

「料理を作るときは、余計なことを考えずに食材と真っすぐに向き合う」。それが中村さんの流儀。料理は「物作り」と米とぎから1人で作る。季節や仕入れで食材の状況は変わり、日々作る料理も変化する。

■お出かけ情報
井中
▼住所は大洗町磯浜町二葉7812の8
▼営業時間はランチタイムが午前11

時半~午後2時、ディナータイム

が同5時半~同10時(昼、夜とも

に要予約)
▼定休は月曜
▼(電)029(266)1171

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