潮来の老舗「愛友酒造」 地域思い酒蔵開放

茨城新聞
2018年2月25日

創業1804年、潮来市辻の老舗酒蔵「愛友酒造」の観光客向け酒蔵見学の入場者数が先月、50万人を突破した。「地域の観光を盛り上げたい」との一心で1996年に開始。市の一大催事「あやめまつり」でにぎわう初夏だけでなく、1年を通して多くの観光客たちを迎えてきた。酒蔵観光は今や年間6万人が訪れる同市の財産。兼平理香子社長は「楽しい思い出とともに『また潮来に来たい』と感じるようなまちにしたい」との思いが、伝統ある酒蔵の新たな挑戦を生んだ。

酒蔵観光発案の背景には、あやめまつりの観光客がゆっくり楽しめるポイントが「水郷潮来あやめ園」以外に少なく、すぐに次の観光地へ移動してしまう課題があった。そこで「訪れた観光客を、いかに長く同市に滞在させるか」考えたのが酒蔵観光だった。

発酵用や貯蔵用の大型タンクが立ち並ぶ酒蔵を、観光客に開放。最盛期にはバスで乗り付けた観光客が引きも切らず、酒蔵を見学して回る。酒造りの作業工程説明は案内する社員の役目。時には営業や瓶詰め担当者まで駆り出される。

兼平社長は「全社員が酒造りをちゃんと勉強して、お客さんに説明している。いろいろな人に接して、みんな良い刺激を受けながらやりがいを持ってやっているようだ」と胸を張る。県内外の酒蔵からの視察も多い。

東日本大震災で同市は大規模な液状化被害を受けた。同酒造も搾り終えたばかりの大吟醸酒の瓶が冷蔵庫内で割れ、全滅した。震災後しばらくたってもまちの停滞感は消えず「打ち負かしたかった」と兼平社長は振り返る。

数々の品評会で高い評価を受けてきた同酒造。一昨年には、出品数最多の市販日本酒品評会「サケコンペティション」で、幻の酒米「雄町」を使った「愛友 純米大吟醸」が日本一に輝いた。酒造りに真剣に取り組むと同時に、地域振興への思いを強く持つ兼平社長。「観光酒蔵ありきでなく、酒造りをしっかり大切にやることが一番。酒蔵には可能性があり、もっとできることがある」と言い切る。

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