かすみがうら・中村商店 霞ケ浦水産物でカップスープ

茨城新聞
2017年5月4日

水産加工の中村商店(かすみがうら市坂、中村昇社長)は、霞ケ浦で水揚げしたシラウオやテナガエビなどを食材とするカップスープの開発を進めている。長期保存が難しく、流通範囲が限られる霞ケ浦の水産物をフリーズドライ加工することで、スープの具として丸ごと手軽に食べてもらうのが狙い。2月に関東経済産業局の地域産業資源活用事業計画の認定を受け、これまで技術開発や試作を進めてきた。霞ケ浦名産の土産物として、来年の販売開始を目指している。
フリーズドライした水産物と乾燥野菜を合わせ、塩で味付けしてスープのもとにする。商品化を検討するのは紙製カップと小袋に詰めた各1人前の2種類。お湯を注げば簡単に食べられ、カルシウムが豊富な栄養面もPRしていく。

霞ケ浦のトロール漁の期間は7月下旬から12月までと決められている。シラウオは煮干しにしても5日程度しか日持ちせず、流通範囲が限定される要因となっていた。

そのため、同社は通年販売できる商品を作ろうと、約3年前に加工品開発に着手。県工業技術センターなどの支援を受け、フリーズドライ加工の試験を重ね、長期保存の技術を確立。昨年9月には自社工場に専用機械を導入した。

今後はイベントでの試食やテスト販売などの反応を基に、品質保持の方法や野菜、味のバリエーションなど改良を加え、来年にも地元の土産物店などで販売開始を目指す。併せて、フリーズドライしたシラウオなどもおつまみ商品として売り出す計画。

将来的には霞ケ浦の水産物の流通拡大につなげたい考えで、中村社長は「販売を通じて、漁師の所得を安定させ、地域のにぎわいを創出していきたい」と意欲を見せた。

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