松陰の短刀公開へ 31日から前橋文学館

上毛新聞
2017年3月30日

前橋市は28日、市に寄託された幕末の思想家、吉田松陰の形見と伝わる短刀が、松陰のものと確認されたと発表した。松陰の妹で初代県令、楫取(かとり)素彦の妻、寿(ひさ)が、生糸の販路開拓のため米国へ渡る桐生出身の実業家、新井領一郎に贈ったもの。幕末から明治の歴史を物語る貴重な品として注目されそうだ。

市によると刀は全長42センチ。室町時代の槍(やり)を後年、短刀に作り直したとみられる。領一郞の子孫で米国・カリフォルニア在住のティム新井さん(57)が市に寄託した。
短刀の存在は、領一郎の孫で戦後駐日大使を務めたライシャワー氏の妻、ハル・松方・ライシャワーさんが1987年に出版した「絹と武士」で触れていたが、詳しい所在は分からなかった。
しかし、2015年4月、記述と似た短刀がティムさん宅にあることが判明。寿が領一郎に短刀を贈る場面を再現した銅像が16年8月、前橋公園に建てられたのを機にティムさんが市に預けた。市が専門家の協力を得て鑑定し、「刀の銘が本の記述と一部一致」「制作年代も一致」「外部に流出した形跡がない」ことなどから本物と判断した。
市役所で記者会見したティムさんは「刀には松陰の魂がこもっている。多くの人に見てほしい」と願った。楫取の子孫、能彦さん(70)=東京都狛江市=は「領一郎が楫取に贈った肖像画も県立歴史博物館にある。短刀も群馬に戻ったことは不思議だ」話した。
短刀は前橋文学館で31日~5月7日に一般公開する。同館で31日午後1時から、ティムさん、能彦さんらによる講演を行う。定員100人。申し込みは同館(027・235・8011)へ。

 

【写真】幕末の思想家、吉田松陰(1830~59年)の形見と確認された短刀。

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