中禅寺湖ヒメマス持ち出し4月解禁 ルール周知に漁協躍起、大型魚の濃度は高止まり

下野新聞
2017年3月15日
ヒメマスの稚魚に餌を与える中禅寺湖漁協職員。今季釣れる成魚は、2015年春に漁協が放流した稚魚の成長した姿だ=2月下旬、日光市中宮祠

 奥日光・中禅寺湖の釣りシーズンが4月1日に始まり、6季ぶりに解禁される高級魚ヒメマスの持ち出し。東京電力福島第1原発事故の影響で禁止されてきただけに、誘客に期待が高まる一方、他のマス類の規制は続き、中禅寺湖漁協は釣りのルール周知に躍起だ。

 事故後6年の今も大型マス類の放射性セシウム濃度は国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)に近い水準にあり、研究機関の調査が続いている。

 放射能汚染により中禅寺湖では2012年4月、釣った魚をすぐに放すキャッチアンドリリース(C&R)が義務化されたが、昨年10月に「国の基準値を安定的に下回る」として、ヒメマスだけ対象から外れた。震災前に2万人超だった年間遊漁者数は一時約7千人にまで落ち込んだが、16年(4~9月)は約1万9千人に増加。2万人の大台回復に向け、ヒメマスの解禁に地元の期待は高まる。

 一方、魚種で扱いが変わる複雑な状況に「不安もある」と話すのは、漁協の(鹿間久雄しかまひさお)専務理事(66)。例えばヒメマスは、規制魚のホンマスとの見分けが難しい。認識不足による持ち出しを防ぐため、組合員に魚の識別や見回りの協力を依頼する。

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