農業女子、愛情の逸品 烏骨鶏マヨネーズ開発

茨城新聞
2016年12月6日

「家族に長生きしてほしい」-。純粋な気持ちから県立石岡一高園芸科1年の大久保芙有花(ふうか)さん(16)=行方市在住=は、自宅で飼っているウコッケイの卵でマヨネーズを開発し、商品化した。食料自給率向上に寄与した産品を表彰する農林水産省のコンテスト「究極の逸品100選」にも選ばれた。家族愛から生まれた調味料として、ファンも増えている。

幼少期から菓子作りが好きだった大久保さん。中学に入ると、母と祖母への思いやりから弁当作りを開始。県「あなたのためのお弁当コンクール」に出品、2年連続で入賞した。

ある日、祖父が心筋梗塞を発症した。以前にも増して家族の健康を見直した。「善玉コレステロールが少なく、血管病のリスクが高い家系と分かった。育ててくれた家族を思うと、何とかしなければと思った」と振り返る。

高校に入り、家で飼うウコッケイの卵を使い、加工品作りに励んだ。最初は失敗の連続。プリンなど試作を重ねたが、鶏卵との違いを出せず時間を費やした。たどり着いたのが、日常的にサラダなどと食べられるマヨネーズ。試作品を家族や友人に出すと好評で、県外の加工業者に委託して商品として仕上げた。

商品名は「烏骨鶏(うこっけい)卵プレミアムヘルシーマヨネーズ」(170グラム、税込み1560円)。濃厚でありながらさっぱりした味で、ビタミンAや鉄分が多く、高タンパクでも低脂肪。油は国産米油にこだわった。農水省「フード・アクション・ニッポン アワード2016」に応募すると、1006点の中から見事100選に選ばれた。

課題は生産量。ニワトリ1羽が年間約300個産卵するのに対し、ウコッケイは約60個。公務員の父、大介さん(44)の協力で飼育数は数百羽まで増えたが、生産は月500本が限界だ。

大久保さんは、普段はスマートフォンで「ユーチューブ(動画投稿サイト)を見るのが好き」という今どきの女子高生。学校ではネギや陸稲を栽培し、土にまみれて勉強に励む「農業女子」だ。3人きょうだいの長女で、大介さんは「優しい子」と目を細める。

「茨城農女ファーム」代表と書いた名刺を持ち、営業にも余念がない。親類の商店主と協力し、「道の駅たまつくり」(行方市)のほか、同ファームのホームページを通じ、インターネットで販売。同市のふるさと納税の返礼品にもなっている。

将来の夢は「人の健康に役立つ農業系の仕事に就きたい」と目を輝かせる。

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