《土木遺産の路線 わ鉄を巡る(20)旧スイッチバック遺構》急勾配の運行物語る

上毛新聞
2016年11月28日

わたらせ渓谷鉄道の現終着駅の間藤駅には、かつてのスイッチバック遺構が残されている。同駅から本山精錬所があった旧足尾本山駅の間(廃線区間)には、30.3パーミルという足尾線時代の最大勾配があった。
1955(昭和30)年に国鉄が作成した間藤駅の実測図がこのほど、わ鉄本社で見つかり、スイッチバック施設が詳細に描かれていた。足尾駅から上ってきた列車は、現在のホーム付近で175メートルの引き込み線の坂を後進。勢いをつけて足尾本山駅を目指した。
貨物を引く蒸気機関車が、スイッチバックで進む様子を収めた映像を持つ同鉄道市民協議会会長の佐羽宏之さん(59)は「煙を噴きながら上っていった。運転手は大変だっただろう」と語る。
駅には今も引き込み線の石積みが残り、銅や物資輸送の生命線だった歴史を物語る。
(おわり、わたらせ支局・山田祐二が担当しました)

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