多様な姿、系統立て紹介 県陶芸美術館、親しみ学ぶ現代陶芸

茨城新聞
2016年8月25日

現代陶芸と聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。先鋭的な造形の器や、深い思想をたたえたオブジェ作品など、複雑怪奇な外観に戸惑う人も多いのでは。県陶芸美術館(笠間市笠間)で開催中の「現代陶芸・案内(ガイド) 笠間陶芸大学校開校記念展」は、多様な姿を示す現代陶芸を、美術教科書のように系統立て紹介。巨匠の器から立体造形・フィギュアに至る、戦後の変遷を親しみ学べる内容となっている。

陶芸評論の第一人者、金子賢治・同館長によれば、日本の現代陶芸は四つの分野に大別される。一つは、洗練された輪郭線と清潔な色感を備えた器の世界。二つ目は、その対極ともいえる有機的形態や多色の色彩を施した装飾過剰の作品。両者の中間に、伝統工芸をベースに現代性を加味した作品と、用の形をなさないオブジェ作品がある。

「現代の陶芸界は、この四つの作風が共鳴し合って、豊かな世界を演出している」と金子館長は言う。

同展は、現代陶芸をリードする人材育成を目指す笠間陶芸大学校の開校を記念し、戦後陶芸をけん引した巨匠や、新進気鋭の作家、海外の著名作家による作品144点を集めた。来館者に配布されるガイドブックは、多様な広がりを見せる現代陶芸を系統立てて紹介するなど、親しみ学べる工夫が随所に施されている。

会場は3章で構成。第1章「伝統の器の成熟」では、既存の形や絵柄にはないオリジナルのフォルムや模様を追求した富本憲吉(1886~1963年)をはじめ、重要無形文化財保持者(人間国宝)らの作品を展示。第2章「オブジェの出現と進化」では、1954年に初めて器の形を離れた八木一夫(1918~79年)の「曲(きょく)」や、音楽を題材にした熊倉順吉(1920~85年)の「ジャズの城」などの前衛的なオブジェ作品をそろえている。

同展の目玉、第3章「平成10年代の様式」は、2000年前後から台頭し始めた新しいスタイルに光を当てた。

その一つが伝統工芸の技に新風を吹き込む試み。前田正博さんの「色絵(いろえ)銀(ぎん)彩(さい)面取(めんとり)鉢(ばち)」、岡田裕さんの「炎彩(えんさい)花器(かき)」をはじめ、主に日本伝統工芸展で活躍する本県作家の秀作が並ぶ。また、シャープな輪郭線や、「透ける」「削れる」といった素材感を生かした作品も響き合う。

ひときわ異彩を放つのが過剰装飾の作品群だ。微細なパーツが集まる今野朋子さんの「Creature『core』」や藤井実佳さんの「女子力増殖マシーン」は、命の鼓動を想像させる。

陶芸の技術や土という素材を出発点とした立体造形では、佐藤雅之さんの「水の骨」や五味謙二さんの「彩土器」、田中知美さんの「ある夜の出来事」などが存在感を示す。同じ立体造形でも、北川宏人さんの人間を模したフィギュア作品は、サブカルチャーの雰囲気を漂わせ、陶芸の新たな可能性を感じさせる。

会期は9月11日まで。問い合わせは同館(電)0296(70)0011

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