《山の日8・11 期待と課題(3)》共生 歴史や脅威 学び活用

上毛新聞
2016年8月9日

長野原町羽根尾の国道146号の交差点を軽井沢方面へ向かうと、木々の隙間から「寝観音」と言われる観音が横になったような浅間山が姿を現す。数々の噴火で、自然の脅威を見せつけられ、さまざまな被害を受けてきたが、地元にとっては貴重な地域資源であり、共生策を見つけ、観光や教育に生かそうとしている。
「ちゃんと力を入れないと、くいが打ち込めない。しっかり持って」
7月下旬。浅間山麓の同町北軽井沢のキャンプ場に地元小学生の声が響いた。町教委は地元の雄大な自然を体験してもらう交流キャンプ教室を開催。児童は長野県軽井沢町に移動し、浅間山東麓の小浅間山の登山も行った。
山頂で輪になって昼食を食べた長野原中央小の星野杏さん、堀込桜良さん、大和田愛華さんのグループは「無事に歩けて良かった。浅間山は噴火するということも聞いている。この後の浅間園での学習でしっかり学びたい」と話した。
町教委は今年から、教室のメニューに今春リニューアルした町営施設の浅間園での学習を取り入れた。町が進める浅間山ジオパーク構想を踏まえ、浅間山の歴史や地元の自然を学んでもらうことに加え、生活していく上で防災意識を高めてもらう狙いもある。
草津温泉から国道292号を長野方面に進むと、ロープで閉鎖された無人の「湯釜」に到着する。草津白根山は2014年6月に噴火警戒レベルが「2」に引き上げられ、入山規制がかかったままだ。周辺の土産店や売店を運営する草津観光公社の担当者は「規制区域外の本白根山をPRすることで、観光客に楽しんでもらえるようなプランを提示したい」と、新たな観光振興策を模索する。
NHK大河ドラマ「真田丸」の舞台になった影響で、東吾妻町の岩櫃山は登山客が急増したが、事故も増え、死亡事故も起きた。“安全が第一”として町は、山頂付近に通じる蜜岩通り登山口を閉鎖。「危険箇所には鎖やロープを設置する」とし、山登りは危険と隣り合わせということを訴えながら、楽しんでもらう環境整備を進める。

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