守谷・アーカスプロジェクト 後世へ図書サロン スタジオ改装

茨城新聞
2016年7月16日

守谷市を拠点に若手の現代アーティストを支援する取り組みとして世界中に知名度を広げている「アーカスプロジェクト」の活動記録を後世に残そうと、同実行委員会は来春、同市板戸井のアーカススタジオに、関連の資料や書物などを閲覧できる図書サロンを開設する。1994年の始動から現在まで23年間の記録や資料の整備・調査を進め、現在のサロンを改装して閲覧用の書棚を設置する計画。経費は100万円を見込み、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」で広く出資を呼び掛けていく。

プロジェクトの中核は、若手アーティストを一定期間招いて、滞在中の創作活動を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」。招聘(しょうへい)アーティストはこれまでに計94人に上り、世界の若手芸術家の登竜門として定着している。2003年度に公募制となって以来、応募者は年々増え、本年度は3組の募集に対し、89の国・地域から過去最多の計656件の応募があった。

活動拠点のアーカススタジオには、23年分の活動記録となる資料や書物など計数千点が蓄積。映像や写真など貴重なものも多いが、これまでほとんど公開されてこなかった。

活動記録の保存や公開に踏み切る契機となったのは昨年9月に発生した関東・東北豪雨。スタジオのある「もりや学びの里」は鬼怒川に近く、浸水被害はなかったものの、水害後は一時、避難所となった。

チーフコーディネーターの朝重龍太(ともしげりょうた)さんは「災害に遭ったときの情景をリアルに感じ取り、ここに眠る膨大な資料を後世に守り継いでいくことの重要性を感じた」と振り返る。

新たな図書サロンは、旧小学校の教室を活用する現在のサロンを改装し、背面のランドセル棚をアーカイブ資料や関連書物などを並べる壁一面の書棚に造り替える。アーティストや研究者、地域住民など誰でも閲覧可能とする考えだ。

クラウドファンディングの活用は、趣旨に賛同する人から広く資金を集めるのが狙い。既に募集を始め、期限は9月9日午後11時。出資額に応じた「リターン」(お返し)として、棚へ自身の作品を展示する権利やプライベートガイドツアーに加え、日比野克彦さんをはじめとする作家の作品やグッズが贈られるなど特典を用意した。

朝重さんは「23年にわたる活動記録は大変貴重で、他のアートプロジェクトの参考になる。より多くの人が集まる施設にしていきたい」と意気込んだ。

★アーカスプロジェクト
県が主導して1994年に始動し、芸術文化事業として日本の草分け的存在。プレ事業と5年間のパイロット事業を経て00年度に正式に発足した。守谷市板戸井の「もりや学びの里」内のスタジオを拠点とし、現代アートの若手作家を招待する「アーティスト・イン・レジデンス」のほか、地域住民を対象としたワークショップなどの「地域プログラム」を展開する。

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