《路線バス 終点を行く(14)》尾島歴史公園(太田) 史跡や文化財が集積

上毛新聞
2016年7月17日

ㅤ東武太田駅北口から約1時間。シティライナーおおた尾島線は終点の尾島歴史公園(太田市世良田町)に到着する。1221年創建の長楽寺、徳川氏ゆかりの世良田東照宮、市新田荘歴史資料館などが集積、芝生広場の緑も鮮やかだ。
ㅤ室町時代初期、五山十刹に数えられた長楽寺まで数分歩いた。静けさが漂う木立の中で600ミリの望遠レンズを担いだ飯塚栄治さん(66)=埼玉県熊谷市=に会った。野鳥が生息しており、ひなの巣立ちや餌やりなどを狙っているという。
ㅤ近くに住む旧尾島町助役の小此木実次さん(82)を訪ねた。資料館はもともと旧尾島町以東の市町でつくる東毛広域市町村圏振興整備組合が1985年に開館した。
ㅤ所在地は旧境町との境。構成市町からすれば「もっとも辺境」(小此木さん)だった。ただ「東照宮、長楽寺の宝物は県内でも突出して多く、全国的な評価も高い。東毛の文化財の中心地」として異論なく開設地に決まったという。
ㅤ96年に建立された区画整理の竣工(しゅんこう)記念碑が歴史公園近くにある。当時一帯は原則的に農業以外の用途に用いることができず、人口は減る一方。長楽寺の建物を使い、1873(明治6)年に開校した世良田小の閉校も懸念された。
ㅤ危機感を抱いた住民は市街化区域編入の陳情を行い、区画整理組合をつくるなどして宅地開発ができるようになった。新しい家も多い。碑文は史跡、文化財、住宅地がマッチした地の誕生を誇っている。

【シティライナーおおた尾島線】東武太田駅から南進後、旧国道354号を西に進む17.7キロ。終点の歴史公園で折り返す。県がんセンターを経由する。太田市の委託を受け、矢島タクシーが運行する。大人200円(60歳以上、高校生以下100円)。

 

写真説明:新田荘歴史資料館では、長楽寺や世良田東照宮一帯のにぎわいを再現した模型を見ることができる。

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