《まち歩き・里歩き》スタート 三原田山興禅寺 (渋川市赤城町) 歴史深い歌舞伎の里

上毛新聞
2016年1月6日

赤城山西麓に広がる渋川市赤城町三原田は、多くの遺跡や文化財が点在している。冬の寒さを忘れさせてくれるような心地よい日差しの下、三原田山興禅寺から歴史ロマンが息づく街並みを歩いた。
1100年以上の歴史がある同寺は、立派な朱色の山門が印象的。境内の案内板によれば、芸道上達や金運上昇の神様、弁財天を祭っているという。静かで厳かな空間に、歴史の重みを感じた。
裏手の墓地で、市指定重要文化財の「三原田の宝篋印塔群(ほうきょういんとうぐん)」を見つけた。同群は室町時代に建立され、この一帯を納めていた三原田氏の墓塔か供養塔ではないかとされる。ずらりと並んだ12基の塔にそっと手を合わせ、寺を後にした。
なだらかな坂道をしばらく歩き、国指定重要有形民俗文化財「上三原田の歌舞伎舞台」に立ち寄った。同舞台は1819年に建設され、舞台面が左右、奥の3方向に広がる「ガンドウ機構」や、小舞台を天井と奈落の両方から上下させる「二重セリ機構」など特色ある仕組みを持つことで知られる。今年11月、5年ぶりの公演となる「地芝居in渋川」が開かれ、およそ2800人の観客でにぎわった。
地元住民でつくる上三原田歌舞伎舞台操作伝承委員会(須藤明義委員長)の一人で、舞台近くにある花店「花膳」の店主、吉沢正一さん(51)=写真=は「5年ぶりの舞台だったが、大盛況だった。舞台を通して地域住民が一体になるのは、気持ちがいい」と笑顔で話してくれた。
雄大な自然を望みながら800メートルほど北上し、滝沢石器時代遺跡へ向かった。旧石器時代から平安時代にまで及ぶ集落遺跡で、国指定史跡でもある。現在は埋め戻され平地になっているが、発掘調査では直径30メートルの環状列石(ストーンサークル)も見つかった。出土した土器や耳飾りなどは、市赤城歴史資料館(同市赤城町勝保沢)に展示されている。
伏流水が湧き出ている湧水池があった。地元では、このような池を湧玉(わくだま)と呼ぶという。太古の人もこの水を飲んでいたのかなと想像し、小さな発見に胸が躍った。振り返ると、たくさんの実を付けたカキの木が目に入った。真っ青な冬空に、オレンジ色がよく映えていた。
現代に受け継がれる遺産や文化財を巡り、まるでタイムスリップしたような気持ちになった。短い散策だったが、地域の長い歴史に思いをはせることができた。
【コースの特徴】
1.8キロ。出発地から上三原田の舞台までは、なだらかな坂道が続く。道路沿いを歩く時は車に気を付けたい。

【寄り道したら】ホルモン 食感楽しむ 「マルフクストアー」
地元の人々に愛されてきた食品スーパー。大腸やハツなど、数種類の肉を秘伝のタレで味付けしたミックスホルモンが人気だ。
昨年オープンしたイートインスペースで「丸福ホルモン定食」(600円)が食べられる=写真。注文と同時に調理するため、店内はタレの香ばしい匂いでいっぱい。さまざまな部位を使用しており、口に運ぶ度に食感の変化が楽しめる。漬物とご飯、みそ汁が食べ放題。「塩ガツ軟骨」(400円)や「腸詰ポークウインナー」(500円)もお薦め。
初代店主の長岡昭好さん(68)は「豚の内臓を全て使い、無駄のないように調理している。歯応えのあるホルモンをぜひ食べてもらいたい」と話している。
午前9時~午後7時半。水曜日定休。問い合わせは同店(☎0279・56・2451)へ。

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