大手門の礎石 城址公園に 所有者協力で3基移設 壬生町

下野新聞
2021年7月5日

 【壬生】昨年、現存していることが確認された壬生城大手門の5基の礎石のうち3基が所有者の協力でこのほど、本丸1丁目の城址(じょうし)公園に移設された。徳川将軍家の宿城だった壬生城の貴重な遺物が、城跡で見学できるようになった。11月に同公園ホールで開催される全国藩校サミットの寺内進(てらうちすすむ)実行委員長は(62)は「藩校関係者を全国から迎えるに当たり、よい話題になる」と歓迎している。

 礎石は、町職員で日本城郭史学会委員の笹崎明(ささざきあきら)さん(60)と町歴史民俗資料館の調査で、町内の民家2軒に3基、本丸の精忠神社に2基の計5基が現存していることが確認された。重さは1基約2・3トンもあり、その大きさから、日光社参の将軍を迎え入れるために改修された大手門の壮麗さが分かるという。

 5基のうち壬生甲の植竹文男(うえたけふみお)さん(73)方の2基、藤井の盆栽業小林英雅(こばやしひでまさ)さん(56)方の1基の3基が、同公園二の丸門側の土塁前の芝生広場に移設された。植竹さんは「皆さんに見てもらえるようになったのはよかった」と話し、笹崎さんは「礎石が一括して保存できる状態になったのはありがたい」と所有者の協力に感謝している。

 大手門は江戸末期の書物「壬生領史略」によると、2階造りの櫓門(やぐらもん)で1693(元禄6)年、城主だった松平輝貞(まつだいらてるさだ)が改修を命じた。現在の足利銀行壬生支店近くにあったとされている。町教委の説明板には、これらの歴史とともに大手門の礎石として確認された経緯などが記されている。

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