1000枚超の瓦塀公開 旧水戸城大手門跡で出土

茨城新聞
2015年10月8日

水戸市教育委員会は7日、同市三の丸2丁目の旧水戸城大手門跡の発掘調査で出土した「瓦塀(かわらべい)」を報道陣に公開した。同教委によると、瓦塀を備えた大手門は全国でも珍しく、千枚を超える大量の瓦を使用した重厚な造りが特徴という。発掘調査は大手門の復元整備事業の一環で、市教委歴史文化財課は「大手門を当時の姿に再現する上で、瓦塀は貴重な資料になる」と説明している。
同課によると、大手門は旧水戸城の正門に当たり、瓦塀は大手門北側から出土した。唐草模様の「軒平瓦」や「棟飾瓦」など千枚以上の瓦が高さ2.7メートル、幅2.4メートル、奥行き1.9メートルにわたって積み重なった状態で見つかった。
瓦塀は、奥行き約5.5メートルの大手門北側と南側に設けられていたとみられ、明治期とされる大手門の解体時にいずれも埋められた可能性が高い。
大手門に瓦塀を備える例は珍しく、通常は弘前城(青森県弘前市)の大手門に見られるような板の塀が多いという。同課は「徳川家の威信を示そうと、瓦塀で大手門の装飾性を高めようとしたのではないか」と指摘する。
市教委は1993年に大手門跡の発掘調査をスタート。大手門の復元を前に今年7月から約3カ月間、過去最大規模の調査範囲で発掘を進めた。瓦塀のほか、大手門に使われていたとみられるくぎや錠前も出土した。大手門の周囲を囲む「縁石(ふちいし)」や城内の雨水を排水する「暗渠(あんきょ)水路」も確認した。市は2019年秋までに大手門を復元する方針で、今回見つかった瓦塀も復元する方針。現地を視察した高橋靖市長は「瓦塀を通して、当時の技術やこだわりのデザインを知ることができる」と感慨深げだった。

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