中村彝、名作85年ぶり公開 クヴェレ美術館で企画展 シルクロード工芸も 茨城・水戸

茨城新聞
2026年9月7日

日本の近代洋画とシルクロードにちなむ工芸作品を集めた企画展「美の交差点 日本近代洋画とシルクロードの精華」が、茨城県水戸市泉町のクヴェレ美術館で開かれている。開館記念の第2弾として、同館コレクションから名品を一堂に紹介した。85年ぶりの公開となった水戸市出身の洋画家、中村彝(つね)の名作「ダリア」をはじめ、交易路一帯で培われた工芸作品の意匠や色彩などが見どころとなっている。

本展は、「異国への挑戦とあこがれ」と銘打ち、日本近代洋画の名品34点と、シルクロードゆかりの工芸作品約60点を展示している。

日本近代洋画では、藤田嗣治をはじめ佐伯祐三、国吉康雄といった、異国の地へ身を投じ挑戦をし続けた画家たちの個性あふれる作品を紹介。また渡欧留学がかなわなかった岸田劉生や萬鉄五郎ら、西洋の影響を内面で深め独自の表現へと昇華した画家たちの作品も取り上げている。

このうち中村彝の「ダリア」(1911年)は、41年に東京・日本橋高島屋で開催された「中村彝氏油絵遺作展覧会」以来、実に85年ぶりの公開。セザンヌやゴッホへの彝の憧れが、躍動感あふれる筆致と鮮やかな色彩で表現された。画面いっぱいのダリアの花からは、きらびやかな生命の喜びが感じとれる。

同館の川島帆乃夏学芸員は「洋画家たちが日本の風土に合うよう模索した姿に思いをはせ、鑑賞していただけたら」と話す。

シルクロードにちなむ工芸作品は、ユーラシア大陸の交易路一帯で培われた華麗な色彩と模様が「時空を超えた旅」へといざなう。

中国・唐時代(7~10世紀)の焼き物「白釉加彩繧繝文壺(はくゆうかさいうんげんもんつぼ)」は、赤・黒・青の顔料で彩色がされ、器の中央には西アジアで生み出されたパルメット文様が施されている。北斉時代(6世紀)の俑(よう)(副葬品)「加彩武人」からは、西域のソグド人の風貌がうかがえるなど、東西交流で育まれた意匠と造形美を伝えている。

このほか、シルクロード各地の信仰の形を今に伝える作品も展示。仏の遺骨を納めたとされる「舎利容器」(3世紀)や地域や素材の異なる仏像も並べられている。

柘植伊織学芸員は「端正な形の器や柔らかい顔立ちの仏様など、視覚的な部分も楽しんでほしい」と呼びかけている。

同企画展は2027年1月11日まで。10月上旬に展示替えを予定。同館(電)029(224)7123。