群馬・前橋市に飲食「円」と民泊施設「べにや」がオープン、大衆食堂の空き店舗を活用

群馬県前橋市中心街の弁天通りで長年愛された大衆食堂「べにや」(前橋市千代田町)の空き店舗を利活用し、朝に定食、夜に和食を提供する「円(まどか)」と民泊施設「べにや」が開業した。「まちなか再生」の一環で、古さと新しさが共存するような“非日常空間”が人気を集めている。コーヒー店経営者や建築士、管理栄養士など 異なる業種の20~30代の4人が経営に携わっており、大衆食堂の記憶を引き継ぎながら「人と人とがつながれる場所をつくりたい」と意気込んでいる。
1階の「円」の営業は午前7時に始まり、週替わりで2種類の定食を提供。夜は和食とワイン、おにぎりも人気だ。流線形の木製カウンターに明るい照明など洗練された空間が広がり、飲食に携わるスタッフは丁寧で優しい調理を心がける。
店長で管理栄養士の玉橋南実さん(28)は、元食品メーカー勤務で商品開発に携わった経験もある。「『話し始めたらつい帰るのが遅くなっちゃう』と言ってくれる人が多い。理想的な空間で、まさに自分がやりたかった店」と話す。
円のオーナーは、中央通り商店街のカフェ「LAUGH COFFEE(ラフコーヒー)」代表の神戸篤樹さん(29)。2019年末まで消防士として働いていたが「日常的にコーヒーを持って歩く文化をつくりたい」と考え、21年に「LAUGH COFFEE(ラフコーヒー)」を開業。街中に新規出店が続く中で「おいしい朝食を食べられる場所を」と円を始めようと思ったという。
2階の民泊施設「べにや」を経営するのは、太田市出身のプロデューサー、片山昇平さん(36)と前橋市在住の1級建築士、木暮勇斗さん(34)だ。片山さんは地域活性化を目的に各地でイベントを手がけてきたが「前橋が面白くなるという実感があった」として木暮さんと共に事業に参画した。木暮さんは市内外の物件のリノベーションや再生事業に携わっており、円とべにやの改修を手がけた。