バラやアジサイ 滋味深く 日本画家・鎌田さん個展 16日まで 茨城・ひたちなか
茨城新聞
2025年6月12日

四季の花々を描き続ける茨城県ひたちなか市の日本画家、鎌田理絵さんの個展が16日まで、同市共栄町のギャラリーサザで開かれている。ツバキやバラ、アジサイなどを題材にした新作のほか、長年テーマに据えるクラゲを描いた大作など50点を並べた。繊細な筆遣いと陰影表現は色彩や造形美、命の気配までを滋味深く捉えている。
鎌田さんが創作の中で重きを置くのが「白の色感」。貝殻が原料の日本画絵の具「胡粉(ごふん)」を用いて、白絹のような淡い風合いを目指している。最近は新たな絵肌作りにも意欲を示し、絵具の厚みや筆遣いに工夫を凝らすなど多彩な表情を生み出している。
今回の個展は「花と戯れながら」と副題を添えた。会場中央には150号の大作「海時計・花時計」が鎮座する。クラゲやカラスウリ、熱帯魚を組み合わせてモノトーンで表現した。とりわけ逆さまになったクラゲの長い触手が印象的で、物語の妖艶なキャラクターを想像させる。
鎌田さんは「花々の魅力は色や形の美しさだけでなく、さまざまな要素があると考える。これからもモチーフにする意味を問いながら筆を執っていきたい」と話している。
鎌田さんは1975年、同市生まれ。茨城大教育学部美術科卒。県芸術祭美術展覧会委員。