日立のささら 荒々しく 会瀬保存会 さくらまつり披露へ 4月5・6日 「躍動感ある舞を」 茨城

60回目を迎える茨城県日立市の春の風物詩「日立さくらまつり」(4月5、6両日)を前に、同市で江戸時代から伝わる3匹獅子舞「ささら」を披露するメンバーが稽古に励んでいる。今年の担当は市内7地区で最も荒々しい踊りで知られる会瀬地区。保存会メンバーは「躍動感ある舞で盛り上げたい」と意気込む。
五穀豊穣(ほうじょう)などを願う「日立のささら」は市内7地区に伝承される県指定無形民俗文化財。さくらまつりには持ち回りで1地区が出演する。子どもが舞うのが県北地域のささらの特徴で、「会瀬佐佐羅保存会」では地域の小学生ら6人が、獅子としゃぐま(赤熊)に分かれて踊る。
昔から漁業が盛んだった会瀬地区のささらは、日立地方のささらで最も威勢がよく、勇壮活発な踊りが特徴だ。獅子は腰鼓を打ちながら跳躍し、しゃぐまが頭にかぶる笠(かさ)には金銀の色紙が貼られ、獅子頭と同じ黒い鳥の羽根が飾り付けられている。
同保存会は7年ぶりにさくらまつりで舞を披露した後、2026年には神峰神社大祭例や鹿島神宮御船祭での奉仕も控える。稽古は年明けから本格的に始まり、週1回のペースで開催。22日は会瀬鹿島神社(同市会瀬町)社務所で通し稽古が行われ、しの笛が響く稽古場はメンバーの熱気であふれた。
獅子を担当する増子蒼士さん(9)は「リズムに合わせて踊ったり太鼓を打ったりするのが楽しい」といい、同じく助川蒼空(そうた)さん(10)は「本番ではキレのある踊りを」、根本英参さん(9)は「きれいにかっこ良く舞いたい」と気合十分だ。
稽古では地域の大人が手取り足取り子どもたちを指導する。同保存会長の関勇哉さん(38)も小学生時代にささらを経験した一人。「伝統を大事にしていきたい」といい、本番に向けて「仕上がりは順調。会瀬らしいダイナミックな踊りを見せたい」と話す。
さくらまつりは平和通りを会場に4月5、6両日に開催。ささらは6日正午と午後2時に披露される予定で、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「日立風流物」とともに、祭りに彩りを添える。