《いばらき御朱印めぐり》つくば市 一ノ矢八坂神社

茨城新聞
2024年9月20日

■デジタルと伝統との共存 QRコード使い頒布

全国的にも珍しい「にんにく祭り」を執り行う茨城県つくば市玉取にある一ノ矢八坂神社。創建は859年と長い歴史があるが、御朱印は何とQRコードで読み込む方式を採用する。発案は宮司の高田重明さん(89)。エンジニアという前職の経験を生かしつつ、デジタルと伝統の共存を目指す。

一ノ矢八坂神社は、筑波研究学園都市の中央に位置する。平安時代の貞観年間に京都府から、御祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)を病疫難・海上安全の守護神として祭ったことが始まり。

にんにく祭りの起源は諸説あるが、江戸時代中期に起きた天明の大飢饉(だいききん)で疫病が流行した際、にんにくで多くの人命が救われたという逸話がある。以来、旧暦の6月7日に執行する祇園祭では、病疫難をはらい清める「にんにくお守り」が頒布されている。その御利益の信仰により、にんにく祭りと呼ばれるようになった。

高田宮司の前職は、日本電信電話公社(現NTT)のエンジニア。1972年の札幌冬季五輪では通信網の設備を担当するなど、全国を回って通信網の構築に尽力してきた。定年後に、家業である同神社を継いだ。

子どもの頃から電気に興味があり、真空管ラジオいじりから始まり、「今でもコンピューターで遊んでいる」と話す。そうした背景があったため、神職に就いた後は、ほかに先立ち、趣味の一環として20年ほど前から同神社のホームページや動画の作成などに取り組んだ。

御朱印のQRコードについては、7~8年前から始めた。同神社は社務所に担当者が常駐しているわけではなく、御朱印への対応が難しかったことが理由。そこで社務所にQRコードを載せたポスターを掲示することになった。御朱印には「奉拝 一ノ矢八坂神社」の文字のほか、拝殿の写真や除災祈願としてアマビエの画像を配置する。

社務所にQRコードのポスターを掲示する

ホームページの作成や御朱印のQRコード化は、高田さんが全て1人で行った。「興味があったからやった。全て遊び」と笑う。ただし、デジタル化は進めても、毎日朝と夕の神事を欠かしたことはなく、伝統を軽んじない。「お願いだけでなく、感謝の気持ちでお参りしてもらうことが一番」と語った。

■メモ
アクセス:TXつくば駅から車で11分。「一ノ矢学生宿舎前」バス停から徒歩3分。学園東大通り一ノ矢交差点を入って道なり。
住所:つくば市玉取2617
電話:029(864)1132
受付時間:午前9時~午後4時
御朱印:QRコードのため無料

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