《食いこ》偶吟 gu-gin(茨城・潮来市)

茨城新聞
2024年6月29日

■茶と酒、心づくしの一杯

茨城県潮来市沿いを流れる常陸利根川近くの住宅街に、日本茶と日本酒を提供する「偶吟 gu-gin」が店を構える。落ち着いた雰囲気の店内には茶道具や酒器、文庫本などが置かれノスタルジーを誘う。2023年6月にオープンし、1周年を迎えたばかり。店主の中根旦季(あさき)さん(24)は「日常を忘れて、ここに来たらホッとできる場所でありたい」と心づくしの一杯を出す。

茶や酒、茶酒、甘味などがそろう。茶の一番人気は抹茶の風味が口の中に広がる抹茶ラテ。生姜(しょうが)香るほうじ茶ラテや自家製深蒸し煎茶ソーダなども提供。お茶を入れる際は、底の広いオリジナルデザインの宝瓶を使用する。

酒は約50種の日本酒を常備。新ジャンルの「クラフトサケ」も楽しめる。茶酒は抹茶ビールが人気だ。夏場、喉の渇きを覚える時期は最高の一杯だろう。シロップと炭酸、米焼酎で割った自家製深蒸し煎茶スパークリングもお薦め。お茶請けに合う甘味もあり、偶吟の文字が押された無花果(いちじく)あんバター最(も)中(なか)や自家製ぜんざいが食べられる。

こだわりの日本酒や人気の抹茶ラテと生姜香るほうじ茶ラテ。優しい味の無花果あんバター最中

中根さんは東京生まれ、東京育ち。潮来市は父の実家があり、幼少の頃から遊びに訪れた縁の深い土地だった。自身が日本茶と日本酒を好み、「都会の喧騒(けんそう)から離れ、お客さまをおもてなししたい」との思いを形にした。「日本茶インストラクター」と「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」の資格を持つ。

店は父親が経営する美容室の一部を改装したもので壁や扉、カウンターテーブルなどの内装は、父親の協力の下、ほとんどが手作り。今月13日にオープンから1年がたち、中根さんは「『おいしい』や『絶対にまた来ます』と言ってくれるお客さまの温かい声が励み。1周年もお祝いしてくれた」と笑顔で感謝の言葉を述べた。

温かみのある木を基調とした外観

客層は女性を中心に20~80代と幅広い。地元の潮来以外、店のインスタグラムを見て東京都や千葉県などから訪れる人もいるという。客席は7席。中根さんが1人で切り回すにはちょうど良いようで、看板猫メープルと共に客を迎える。「ひと息つける場所として、穏やかな日常が続けば」と今後を見据えた。

お出かけ情報
▽茨城県潮来市潮来134
▽営業時間は午後1~10時(最終入店は同9時)
▽不定休
▽(電)0299(94)5553
▽インスタグラムのアカウントは@__gu_gin___